少女たちの「無敵」の裏に漂うもの悲しさ

『少女奇譚 あたしたちは無敵』 朝倉 かすみ (著) 角川文庫

「BOOK」データベースより

成長過程で顔の皮膚が硬くなり、はがれ落ちると美しくなるという女系の家に生まれた少女が体験する変化に、心ざわめく「カワラケ」。きらきら光るものを拾ったことで、世界を救うヒロインに選ばれたと確信した少女たちとシビアな世界の対峙を描く表題作など、不思議に満ちた5話。変化していく身体、家族や友人関係―少女たちの現実は、ままならない。豊かな感性が捉えた驚きや理不尽さを鮮やかに描く、注目の短編集。

少女の身体的成長と心理状況を描く

お母さんも、お祖母ちゃんもそうだった。自分の皮膚の変化を予感し、ひとまわり成長を遂げるであろう自分への期待と不安。

その浮き立つような落ち着かない気持ちが手に取るように伝わってくる「カワラケ」。

自分たちには特別な能力がありそれはてきと戦うためにあるのだ、と盛り上がる少女たちを描く「あたしたちは無敵」。

まとめ

自分が何者であるかを確定していないが故の強さと脆さを併せ持つ少女たち。その不安定さはどこか懐かしく、そしてほの悲しくもあり、読む者の胸に響いてくるのです。

<こんな人におすすめ>

少女の無防備さ、純粋さ、愚かさを描いた物語を読んでみたい
現実と奇妙な世界が混ざったような物語に興味がある
朝倉 かすみのファン

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