心の奥を言語化されたような、奇妙な感覚を持つ物語

『ファイナルガール』 藤野 可織 (著) 角川文庫

あらすじ

私には何年も付いているストーカーがいる。姿は見せないが、常に私を見張っていて電話をかけてくる。結婚が決まった後もまた電話をかけてきて…(「去勢」)。リサの母親は、リサを守り命を落とした。その時からリサの戦いが始まった(「ファイナルガール」)。日常と非日常の境目があやふやになる奇妙な七つの短編集。

ストーカーと「私」の関係性

高校生の頃からどこからか私を見ていて「お帰りなさい」「よかったね」などと電話をかけてくる男、つまりストーカーがいる。相手を気味悪く思いながらも軽んじていたのだが。ストーカーの目線の不気味さと私の対応の不可解な部分が奇妙なねじれを感じさせます。

戦っているのは現実世界?それとも…?

そして、リサの戦いを描く話では、若くしてリサを守るために亡くなった母を想う階層からはじまり、空想なのか現実なのか次第に境目があやふやになってきます。

まとめ

夢の中の話のように整合性がなく奇妙な物語たち。しかし無意識下での心の奥を言葉にされたような描写に不思議と惹きつけられるのです。

<こんな人におすすめ>

奇妙な後味を残す短編集を読んでみたい
夢の中のような話なのに印象に残るような物語に興味がある
藤野 可織のファン

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