消せない過去と、選びとりたい未来

『二度目の過去は君のいない未来』

高梨 愉人 (著)  集英社文庫

あらすじ

二十九歳の高校教師・兼祐は生徒とうまくいかず、妻の陽子にも愚痴ばかりこぼし、夫婦の間もうまくいかなくなっていた。ある日、生徒が電車にひかれそうになったところを助けた兼祐と陽子は、気がつくと10年前の世界に戻っていた。ただし、記憶は大人のままで…。十年前から再び人生をはじめる二人が選んだ未来とは。

とあるきっかけで十年前の世界に来てしまった二人

兼祐と陽子は、電車に飛び込んだ生徒を助けようとしたところ、気がつくと十年前の世界に。兼祐は教育学部に通う大学生。陽子は小学生。過去がそうであったように、家庭教師として陽子の家に出向き、陽子も以前の記憶を持ったままということを知る兼祐。しかし、必ずしもまた夫婦になるとは限らないと考える陽子に驚き、戸惑います。そして、自身も向いていない教師をまた目指すのかと迷います。過去と違い、友人もでき、充実した大学生活を送る兼祐を見ていた陽子の胸の内は。

弱い自分、目を向けなかった問題。再び過去をやり直すことになったとき、それとどう向き合うのか。せつなくてあたたかく、そして自分と向き合う勇気をくれる物語です。

<こんな人におすすめ>

夫婦で過去にタイムトリップしてしまう話を読んでみたい
過去に戻っても一度挫折しかけた夢に再び向かえるのかに興味がある
高梨 愉人のファン