冷たい美しさとせつなさを持つ乙一の世界

『平面いぬ。』   乙一 (著)  集英社文庫

あらすじ

わたしは腕に犬を飼っている。ひょんなことから居ついてしまった「平面いぬ」ポッキーと少女の不思議な生活他、ファンタジー、ホラー4編を収録した乙一の短編集。

刺青が動き出す!?

ほんの出来心で、腕に彫ってもらった犬の刺青がある日突然動き出した。そんな驚くべき事実をすんなりと受け入れる女子高生のユウ。

勉強も運動も今ひとつ、日常の身の回りのこともしっかりできない。そんな彼女の父、母、弟が全員ガンになり、余命が半年と知る。それを知ったユウが起こした行動とは。

まとめ

何とも不思議な物語たち。主人公の愚かさが現実でない世界を背景に、丁寧に描かれています。

愚かではあるけれど、泥くさくなく、切なさを感じるのは、その一歩引いた感じの人物との針とりの描写やセリフ回しが洗練された美しさをまとっているから。

どこか冷たく、そしてそこに引き込まれるような力を持つ短編集です。

<こんな人におすすめ>

昔話と現実が混じったような話が好き
刺青が動くとしたら?という話に興味がある
乙一のファン

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