こちらは江戸末期に櫛引職人を目指す
女性の姿を描いた物語よ。
江戸末期か。女性が職人を
目指すのって珍しくないか?
そうなの。嫁いで子を産むのが
女の幸せと言われた時代よ。
主人公は世間や家族から
奇異な目で見られているわ。
なるほどねえ。そんな
家族や世間との折り合い、そして
櫛引職人としてどのように成長して
いくか気になるな!
『櫛挽道守』 木内 昇 (著) 集英社文庫
あらすじ
幕末の木曽山中、藪原宿。この宿場町ではお六櫛という櫛づくりがさかんに行われていた。
なかでも登勢の父は名人であり、その父のように櫛挽職人を目指す登勢。
しかし、嫁いで子を成すことが女の幸せとされる中、登勢は周囲から奇異な目で見られる。
職人としての才能を持ちながら早逝した弟、閉鎖的な村から出ていきたいと考えている妹、周囲の目を気にする母、そして口数が少なく、ひたすら櫛作りに励む父。
職人として、女として、人間として生きる姿を描く。
父の櫛職人としての腕を尊敬し、少しでも仕事を手伝おうとする登勢に、母や妹は「女なのに家のこともしないで」と苦い顔です。
それでも少しずつ腕を磨いてきた登勢に嫁入りの話が舞い込みます。櫛作りをあきらめなければならないと、登勢は嫁ぐ決意をしたものの、父・太吉が登勢の腕と心情を慮り、嫁入りの話を断ります。
これにより、太吉の立場は悪くなり、一家の暮らしぶりはますます厳しいものに。
やがて妹は姉に自分の思いのたけをぶつけたあと嫁ぎ、連絡が途絶えます。そして太吉の腕にほれこんだという男、実吉が登勢とともに櫛作りの技術を学ぶのですが…。
まとめ
幸せや価値観がそれぞれの立場や状況によって異なる中で、自分がなすべき事は何なのかを、ブレる事なく貫き通す登勢。
その生き方に感動し、多くのことを学べる物語です。
<こんな人におすすめ>
幕末の木曽で櫛挽職人をめざす女性の話に興味がある
家族の確執や絆を描いた話を読んでみたい
木内 昇のファン
か、感動的…(இдஇ; )
何者にもブレることのない
「自分の芯」を持つことの大切さを
教えてくれるわね。
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