言葉の持つ「力」に打ちのめされる物語

のこ
のこ

こちらは刑務官がある囚人との

やりとりから生と死を考えて

いく物語よ。

ぬこ
ぬこ

なるほど。

どんな囚人なんだ?

のこ
のこ

二十歳で控訴せずに

死刑の確定を待っているの。

ぬこ
ぬこ

死刑の確定を待っている?

死にたいのか?

刑務官とのやりとりも気になるな。

『何もかも憂鬱な夜に』 中村 文則 (著) 集英社文庫

あらすじ

施設で育った刑務官の「僕」は、ある夫婦を刺殺した二十歳の未決囚である山井を担当している。

山井とのやりとりの中で、どこか自分と似たところがあると感じる「僕」は、自殺した友人や恩師とのやりとりに思いを馳せる。

犯罪と死刑制度、生と死、そして希望と真摯に向き合った物語。

刑務所へ行く前の犯罪者たちが収容される拘置所で、刑務官として働く「僕」は要注意者であり、控訴せず死刑の確定を待つ山井を見守るように上官から言われます。

そんな「僕」が山井にかけた言葉は「死にたければ、死ねばいい」。そして山井は自殺を図ったのでした。

まとめ

「死刑」という制度の曖昧さ、執行人の苦しみ、友人を自殺に追い込んだ悔恨、命や生きることに対する、それぞれの価値観。

締め付けるような苦しい思いが言葉で押し寄せてきて、圧倒され、打ちのめされます。

心を更地にされた後に残ったかすかな光。

それは生きるよすがなのかもしれません。

<こんな人におすすめ>

刑務官を描いた話を読んでみたい
犯罪者の「救い」とは何なのかを描いた話に興味がある
中村 文則のファン

ぬこ
ぬこ

犯罪者の「救い」って

何なんだろうな…。

のこ
のこ

死刑囚、執行人、自殺した友人。

様々な角度から命や生きることについて

考えさせられる物語ね。

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