こちらは『赤い博物館』の第2弾よ。
前作では部下である寺田に捜査を
まかせていた緋色館長だけど
今作では寺田とともに捜査に乗り出すの。
ほほう。緋色が捜査に同行するなんて。
どんな事件だったんだ?
一つは寺田の友人が五歳の頃に
被害に遭った誘拐事件よ。
自分の記憶に対して事件の真相は
どうだったのか調べて欲しい、と
寺田は友人に頼まれたの。
二十年以上前の誘拐事件か。
五歳の頃の記憶というのも
確かに心もとないな。
その事件の真相とは
どんなものだったんだろう。
『記憶の中の誘拐 赤い博物館』
大山 誠一郎 (著) 文春文庫
あらすじ
三鷹市にある警視庁付属犯罪資料館、通称「赤い博物館」は事件の遺留品や証拠品を保管する施設。
この施設に配属された、もと捜査一課員であった寺田聡は、館長・緋色冴子警視の優れた推理力による指示のもと再捜査を行い、終わったとされる事件をいくつも解決してきた。
ある日、聡は友人から過去の事件の再捜査を依頼される。
二十六年前に起こった奇妙な誘拐事件、その裏に隠されていた真実とは。
五歳の頃に起きた誘拐事件の記憶
五歳の頃、両親の友だちだという女性に声をかけられ、車に乗った戸田尚人。
薬の入ったジュースを飲んで眠ってしまい、気がつくとトランクの中に閉じ込められていました。
恐怖とパニックで気を失い、次に気づいたのは心配そうに彼をのぞきこむ両親の顔。
後に犯人は自分を産んだ母だったことが判明。
身代金目的だというがどうも腑に落ちず、誘拐の本当の目的を知りたい、という思いを友人の聡に打ち明けました。
犯人が身代金の受け渡しに夫婦どちらかではなく二人で、と指示したことや、指定の場所まで彼らを五百メートルほど歩かせたことなどの疑問点を緋色冴子に提言した聡。
沈黙の後、彼女が放ったのは「真相がわかった」の一言でした。
まとめ
前回は緋色冴子が指示し、聡が捜査する、という流れでしたが、今回は彼女も捜査に同行します。
といっても、やはり愛想とは無縁で、無表情に思いがけない言葉をポツリポツリと発するのですが。
多くの情報の中から小さな違和感を逃さず掴み、埋もれていた真実を見つけ出す、冴子の見事な推理が光るミステリーです。
<こんな人におすすめ>
保管した証拠から過去の未解決事件に挑むミステリーに興味がある
前作「赤い博物館」を読んだ
大山 誠一郎のファン
前作『赤い博物館』のイラストブックレビューはこちらからもご覧いただけます。
誘拐事件の裏にはこんな真実が!!
驚きと同時に、
胸に深く響く…。 ・゚・(ノД`)・゚・。
小さな違和感を逃さず
真実を導き出す緋色館長の
冴えた推理が光るミステリーね。
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