こちらは結婚を控えた男性が
失踪した婚約者の行方をうちに
自分自身の価値観やプライドと
向き合っていくお話よ。
結婚を控えていた、ということは
二人とも幸せってことだったんじゃ
ないのか？
婚活で知り合った二人は
もちろん縁があって婚約まで
いったのだけど。真面目で善良な
彼女の失踪は彼に衝撃を与えるわ。
そうだろうなあ。彼女の心の中で
いったい何が起こったんだろう？
『傲慢と善良』辻村 深月 (著) 朝日文庫
あらすじ
親の跡を継ぎ、東京で輸入業の代理店を経営委する三十九歳の西澤架は、半年後に結婚式を挙げる予定だった。
しかし、婚約者である三十五歳の坂庭真実が失踪し、行方不明に。
彼女が話していたストーカーと何か関係があるのか。
架は群馬にある真実の実家や、真実の友人・知人らをたずね、彼女の居場所を探そうとするのだが…。
失踪した婚約者の価値観やプライドが明らかに
友人も多く、異性との付き合いにも困ることのなかった架は、父の亡き後、その会社を継ぐことを決意し、必死に仕事に励んできました。
気がつけば三十代も半ばをすぎ、SNSで元カノの結婚を知って動揺しつつ、婚活に取り組みます。
婚活アプリで知り合った真実と交際して二年。
なかなか結婚に踏み切れない架でしたが、友人らに後押しされる形でようやく決意。
式場も予約していた矢先に真実が失踪します。
警察に相談するも事件性は低いと判断されてしまいます。
ストーカーは群馬にいた頃、交際を断った相手だ、という真実の言葉から、架はかつて真実が群馬での婚活で知り合った相手や彼女の友人たちから話を聞きます。
彼らが語る真実の姿、そして両親にとっての真実の姿が浮き彫りに…。
まとめ
明るく朗らかで友人の多い架と、親に従順で異性との交際もなかったような真実。
真面目で善良な人間である彼女の失踪は架に大きな衝撃を与えます。
彼女を探すために群馬で知人や友人などに話を聞いてまわった架は、真実の中の結婚への価値観、自分自身に対するプライドや傲慢な部分を見出します。
しかしそれは架自身が真実や結婚にいついてどう考えていたのかを映し出す鏡でもあったのです。
自分の中にある傲慢な部分と向き合い、善良な部分を認めてあげたくなるような、胸の奥深くにい刺さる物語です。
＜こんな人におすすめ＞
行方不明となった婚約者を探す際に、相手の過去を知っていく物語に興味がある
結婚についての価値観や、自分自身と相手の価値を深く掘り下げていく話を読んでみたい
辻村 深月のファン
いやはやここまで自分の傲慢な
部分を掘り下げていくとは。
怖いくらいだな。
相手ととことん向き合うことで
自分の中の価値観に気づくことが
あるのね。
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