こちらは人工的にがんを
発生させることができるのか
というテーマのもとに展開する
医療ミステリーよ。
お 『がん消滅の罠』の第二弾か。
確か前作はがんと診断された患者の
寛解が続いた謎を追う内容だったな。
そうね。今回はがん団信のローンを
組んで数ヶ月後にがんの診断が下り
お金が支払われるケースが続いたり
ある政治家が人工的にがんを発生させると
脅迫を受けたりするの。
お金を得るためにがんになるってこと?
それにがんにすると脅迫されるって…
がんの発生ってコントロールできるのか!?
『がん消滅の罠 暗殺腫瘍の謎』
岩木一麻 (著) 宝島社文庫
あらすじ
日本がんセンターに勤めている医師の夏目は、保険会社の友人・森川から奇妙な案件が続いている、という話を聞く。
がんの診断を受ければ未払い分の住宅ローン支払い義務がなくなるというがん団信で、住宅ローンを組んでから一年以内にがんと診断されるケースが続けて発生している。
その五件において、全員が皮膚がんの一種「メラノーマ」であるとも。
一方、埼玉県内では医師の連続殺人が起こり、夏目のもとにも警察が。
さらに脅迫を受けていると言う政治家から「人工的にがんを発生させることは可能なのか」と相談される。
先端科学技術が人類の可能性を脅かす医療ミステリ。
人工的にがんを発生させることは可能なのか
日本では人口十万人あたり約一.五〜二人。
珍しいがんであるとされるメラノーマが五例、しかも保険加入者に都合のいい形で発生している。
五人のうち四人は支給済みだが、残りの一人について調べてみる、という森川に、病院の来歴に変わった点があれば連絡をくれ、と夏目は伝えます。
保険詐欺疑惑の調査対象である女性は購入したマンションに住んでいる気配はありません。
自身の収入も充分にあり、お金に困っている様子もありません。
彼女は根拠のない免疫療法により夫をがんで亡くしていました。
近くに来たからと夏目をたずねてきた大学院時代の先輩である真栄田も、がんであった妻をあやしい代替医療により亡くしています。
がん患者を食いものにして稼ぐ医者が連続して殺される事件、そして「人工的にがんを発生させる」と脅迫されている議員。
一連の出来事はある人物を指し示していたのです。
まとめ
藁にもすがる思いのがん患者から金と命を奪う代替医療を取り締まる法律は日本にはありません。
その問題点をベースに、先端技術が殺人腫瘍をも生み出すというところまで来ていることに背筋が冷たくなる、最後まで目が離せないミステリ。
<こんな人におすすめ>
人工的にがんを発病させることが可能なのかをテーマにしたサスペンスミステリーを読んでみたい
前作『がん消滅の罠 完全寛解の謎』を読んだ
岩木一麻のファン
根拠のない代替医療が
横行している日本っていったい…
法律を整備してもらって犠牲者を
これ以上増やさないようにする
必要があるんじゃないか。
先端医療技術もここまで来たのか
という恐ろしさを感じるわね。
医療の知識がなくてもがん治療の
現実、そして患者や家族の思いが
ひしひしと伝わる医療ミステリーね。
前作『がん消滅の罠 完全寛解の謎』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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