こちらは『紙鑑定士の事件ファイル』
シリーズ第二弾よ。今回は紙、プラモデルの
ほかフィギュアやコスプレの世界も登場するわ。
前回はプラモから派生する
膨大な知識を堪能させてもらった印象だな。
今回はフィギュアやコスプレか。
馴染みのない世界だが楽しめるんだろうか?
興味のないジャンルでも
十分に楽しませてくれるのが
本シリーズの特徴とも言えるわね。
様々なジャンルの特性を生かした
トリックや推理も鮮やかなのよ。
そりゃ楽しみだな!!
あの土生井がその後どうなって
いるのかが実は気になってたんだよな。
早く読みたい!!
『紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪』
歌田 年 (著) 宝島社文庫
あらすじ
持ち込まれた紙のサンプルを調べ、メーカーや銘柄を特定する「渡部紙鑑定事務所」の渡部は、触っただけでどのような紙かを当てることができる。
そんな彼のもとには、紙にまつわる依頼が持ち込まれる。
漫画の単行本を不良品として突き返す少年、凶器が消えた殺人事件の謎。
仲間の豊富な知識を参考にしつつ、渡部は事件の真相に挑む。
紙に関する深い知識で事件の謎を解く
西新宿のビルの一室に構える「渡部紙鑑定事務所」は紙を調べるというちょっと変わった事務所。
自然堂紙パルプ商会を辞め、事務所を開いた渡部は触っただけで紙の種類を判別できるという能力の持ち主。
ひょんなことから受けることになった依頼は、あるアメコミの二巻を探し出すこと。
母親が複数店舗をまわり入手するも、どれも「不良品」だとして受け付けない息子。
知人である原型師の團が依頼を受け、このアメコミに登場するヒーローのフィギュアを製作しますが、こちらも「違う」と受け取ってもらえず。
どこが違うのか、何が問題なのか。
また、ある日警察から極秘に頼まれたのは、某殺人事件の容疑者の容疑を晴らしてほしい、というもの。
コスプレが趣味という夫婦の夫が自宅で強盗に襲われ失血死。
犯人は放火して逃走。
凶器は発見されておらず。
妻が仕事中で家を空けていた時の出来事で、夫婦の共通の友人であり、結婚前の妻に交際を申し込んだこともあるマサという男が容疑者として浮かんできます。
コスプレについての知識を團から教わりつつ、事件に使用された凶器やマサのアリバイに思考を巡らせますが…。
まとめ
厚さ、大きいさからその用途まで、紙の知識の膨大さと紙が持つ汎用性の高さに驚かされます。
紙だけではなく、プラモデルやフィギュアの世界で使われる素材や技術も、新鮮な驚きに満ちた情報で溢れています。
大量のうんちくが流れますが、それぞれの「オタク」たちの落ち着いた佇まいと仕事への情熱が静かに伝わり、置き去りにされることなく知識を楽しむことができます。
そして紙、プラモデルやフィギュアとコスプレなど関連のなさそうなジャンルが融合し、綺麗にラストの解決へと導かれる様子も見事なミステリーです。
<こんな人におすすめ>
紙の知識がふんだんに用いられたミステリに興味がある
プラモデルやコスプレに関連する事件の謎を解く話を読んでみたい
宝島社文庫のファン
土生井… 元気そうで良かった。
新登場の團がこれまた
いい味出してるなあ。
これらのジャンルに馴染みの
ない人たちにもスルスルと
読ませてしまう巧さがあるわよね。
紙と趣味の世界の可能性にも
驚かされるミステリーね。
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