こちらは29歳の女性が
まかない付の下宿で暮らすうち
価値観や状況に変化が訪れる
お話よ。
下宿??しかも食事付とは
珍しいな。どんな食事が
出てくるんだろう。
大家である二人の男性が交代で作る
定番料理に、旬の素材が加わるもの。
主人公は料理を食べたり、住民と
交流するうちに自分自身の問題にも
向き合っていくわ。
なるほどね。美味しいご飯を
食べたら元気も出そうだもんな。
主人公をどんな出会いをして
変わっていくのかな。
『猫目荘のまかないごはん』伽古屋 圭市 (著)角川文庫
あらすじ
二十九歳のフリーター、降矢伊緒は友人の紹介で阿佐ヶ谷の年季の入った木造二階建の下宿屋『猫目荘』で暮らすことに。
近隣と比べ手の届きやすい家賃、そして大家が作る料理が朝夕二回提供されることが決め手となった。
東京に来て五年になる伊緒は、婚活も就職もなかなかうまくいかない。
そんな伊緒は猫目荘の個性的な住民たちと交流し、共にごはんを食べるうち、自分自身を見つめ直し、その考え方と行動に変化が訪れる。
料理をしない伊緒が出会う 風変わりな住人たち
家を出て東京で暮らしはじめた伊緒は、料理を一切せず、食事は外食かコンビニのみ。
家賃が安く、朝夕のまかないまで出る猫目荘は彼女にとってありがたい存在です。
個性的な住民たちや下宿のシステムに最初は戸惑う伊緒ですが、次第に慣れてくると、料理を楽しく味わえるように。
大家である小金井と深山が交代で作る料理は豚キムチやアジの南蛮漬けなど、おなじみの料理に旬の食材やちょっとしたアレンジを加え、伊緒や住人たちのお腹をおいしく満たしてくれます。
バイト先でのトラブル、うまくいかない就活や婚活、そして全く見えてこない自分の未来。
猫目荘の住人である珈琲店のオーナー、俳優、ユーチューバーらから話を聞くうちに、伊緒は改めて自分自身を見つめなおします。
そんな伊緒に思わぬ転機が訪れ…。
まとめ
親元から離れ、まずは仕事を、と就活するもうまくいかず、婚活を考えるも自分は結婚についてどう思っているのかあやふやで、「夢」と呼べるものもそんなに強く思えていないような…。
と特に自分の強い意志や希望もなく流され生きてきた伊緒が二十九歳にしてぶち当たった「私の人生このままでいいのか」という壁。
彼女の価値観を軽々と超えてくる住人たちの存在は、世間や親の価値観に縛られ堅くなっていた心をほどいてくれます。
「生き方に正解を求めない」という生き方がある。
そんなことを教えてくれる、心あたたまる物語です。
<こんな人におすすめ>
おいしいまかないの出る下宿屋を描いた物語に興味がある
仕事も婚活もうまくいかないと悩む女性が個性的な住民と出会い自分なりの生き方を見出していく話を読んでみたい
伽古屋 圭市のファン
生き方の答えは一つじゃない。
無理に決めなくてもいいってのは
いいよな。タイミングが合えば
自然と進むものだし。
美味しいご飯を食べることは
周囲の声に振り回されない
自分の土台を作るのにも
一役買っているのかもしれないわね。
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