こちらは北海道で一人暮らしを
している八十三歳のおもちさんが
人生最後に向かって過ごす
日々の様子とその思いを描く物語よ。
八十三歳で!!北海道で!!
一人暮らし!!
すごいなあ しっかりして
いるんだろうなあ。
近くに息子夫婦が住んでいるので
お嫁さんが車を出してくれたり
東京に住む娘が一日に二回、
電話を入れたりしてくれているの。
なるほどね。
それで安心…とも言えないのが
高齢者の暮らしなんだよな。
おもちさんの場合はどうだろう。
『にぎやかな落日』朝倉かすみ (著)光文社文庫
あらすじ
八十三歳のおもちさんは北海道で独り暮らしをしている。
東京に住む娘はおもちさんのことを心配して一日に二回電話をしてくれるし、近くに住んでいる息子の嫁のトモちゃんは車で買い物につれていってくれる。
文句を言ったり笑ったりしながら日々を過ごしていたおもちさんだが、何とこのたび入院することに。
人生最後に向かう日々の暮らしと胸の思いを丁寧に描く。
八十三歳、おもちさんの独り暮らしの日々
独り暮らしのおもちさんのところに毎日二回、午後1時と午後6時に電話が入ります。
東京に住む娘、ちひろからで「ごはん食べた?」「なにしてたの?」という問いに「ごはん一膳、ペロスケ食べたワ」「朝から動き回ってたからサー」と答えるおもちさん。
すごいね、と相槌する娘の言い方が赤ん坊に対するもののようで、じれったさを感じます。
会話の中でも思い出せない部分があって焦ったり、調子が良いと思い出したり。
夫の勇さんは要介護となり、いよいよおもちさん一人では見ることができなくなり施設へ入ることに。
以来おもちさんは近くに住むお嫁さんのともちゃんや時々帰省するちひろに助けてもらい、近所の人々とやりとりしながら、ささやかな幸せを感じ、日々の生活を送ります。
食事の状況をちひろや自宅に来てくれる看護師さんから問い詰められキレるおもちさん。
そしてついに入院することに。
なかなか出ない退院許可に不安になるおもちさんが思い出すのは昔のことで…。
まとめ
おしゃれが好きで、姪っ子に言われた言葉を大切にしていて、ごはんはいつもがんばってたいらげる。
自分の身体の老化や病気に不安はあるけれど、難しい医師の言葉は娘や嫁に聞いてもらい「なんとかなるっしょ」と構える。
子供っぽい部分があったり、愛情豊かなところを見せたりするおもちさんの最晩年の暮らし。
軽快な北海道弁の会話はどこまでもスカッと明るく、ゆっくりと近づく最後も重すぎることのない、渇いたあきらめを感じさせます。
多くの愛に囲まれ老いても自分らしくあるおもちさんのような晩年を送りたい。
そんな風に感じた物語です。
<こんな人におすすめ>
北海道で一人暮らしをする八十三歳の女性が過ごす日々を描いた話に興味がある
日々のささやかな幸せとあたたかな過去を思いながら老後の不安に向き合う老女の物語を読んでみたい
朝倉かすみのファン
なんていうか おもちさんの
生き方がいいよな。
我が道を進んでいくから
周りがちょっと困ることもあるけど
憎めないところがある。
自分で完結する潔さ、という
ものがおもちさんから感じられる
からかもしれないわね。
やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。