こちらは新米の海外旅行添乗員が
様々なお客様をアテンドしながら
成長していく姿を描いた物語よ。
ツアーの添乗員か。客の中には
無理なこと言ったりする人なんかも
いそうだなあ。
事前に連絡した持ち物を
用意してこなかったり
物価の高さに文句を言ったり
するお客さんもいるの。
ええ〜?
郷に入っては郷に従えって
いうのになあ。でもそれに応えるのも
添乗員の仕事なのか。大変だなあ。
『たまごの旅人』近藤 史恵 (著) 実業之日本社文庫
あらすじ
子供の頃から遠い世界にあこがれ、興味を持っていた遥はその念願がかなって海外旅行の添乗員に。
アイスランドやスロベニア、パリに北京。
風光明媚な景色や美味しい料理をアテンンドし、参加客たちの特別な瞬間に寄り添う。
そんな仕事にやり甲斐を感じ、楽しさと喜びを感じ始めた頃、予想外の事態が発生する。
ツアーに参加するお客様の様々な思いや価値観に触れる
派遣社員で海外旅行の添乗員になった遥。
はじめての仕事はアイスランドのツアー。
緊張を隠しつつ、参加者たちの様子に目を配ります。
自然豊かな現地を巡りますが、事前に案内していた雨具を準備していなかったり、物価の高さに文句を言ったりする森木夫妻。
アイスランド語で「黄金の滝」の意味を持つグトルフォスを観光中、森本夫人の体調が悪化。
夫婦はバスで先にホテルへ戻ることに。
夫人の服が濡れているのを見て、拒絶されるかもと思いつつ新しい服を買って着替えたら、と提案する遥。
夫人はためらっていましたが夫の清さんが「買いに行こう」と立ち上がります。
清さんは雨具を準備しておけばよかった、と反省した様子。
戻ってから夫人の様子をたずねると「おにぎりを食べたい」と言っているのだとか。
遥の持っているレトルとのお粥ではダメなようで…。
「わかりました。少し考えてみます」と思わず遥は答えてしまいます。
近くのスーパーに走り、ジャポニカ米を購入し、ホテルの厨房を借りて炊いてみるもうまくいかず。
途方にくれた遥が思いついたこととは。
まとめ
ツアーに参加する客たちは、友人、若い夫婦に年配の夫婦、父娘、母息子など実に様々な顔ぶれ。
当然それぞれに異なる価値観を持っているわけですが、それが旅先での不満や同行者への迷惑につながってしまうこともあります。
日本から遠く離れた地で、自分の内面に抱えていた問題が出てきてしまうことも。
遥はトラブルに対応しつつ、誠実に仕事に取り組むことで自分の根っことなる部分を成長させていたのです。
旅が好き、人が好きな遥が多くの人の旅と、人生の一文を共有し己の糧として生きていく姿に元気をもらえる物語です。
<こんな人におすすめ>
新人の海外旅行添乗員の奮闘を描いた物語に興味がある
旅先での特別な体験や人生の転機をあたたかな筆致で描く話を読んでみたい
近藤 史恵のファン
あきらめずになんとかしようという
その思いが遥を一人前の
添乗員へと成長させていくんだな。
旅という非日常的な世界で起こる
出来事はその後の人生に大きな
影響を与えることもあるわよね。
そんな一瞬に立ち会える添乗員は
遥にとってかけがえのない仕事なのよね。
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