小説・人文

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「男らしく生きる」って結構大変なんです

地元の仲間との関係に縛られ、抜け出せずにいるアラサー男。交際することになった女子高生の積極性に恐怖すら感じる男子高生。求められる「男らしさ」に馴染むことのできない男たちの、おかしくてちょっぷり切ない物語集。
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その人生が不幸か幸福か それは自分自身が決めること

海を見下ろす小高い丘に広がる住宅地、『うつくしが丘』。この地に建つ、築21年の3階建一軒家を購入した美保理と譲。1階を美容室に改装し、近所の人に利用してもらえる店にしようと張り切っていた。しかし、オープンを間近に控えたある日、美保理は近隣住民からここが「不幸の家」と呼ばれていることを知る。
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罪を犯した作家は逃げ果せることができるのか?

売れない作家の大菅賢は編集者の言葉にキレてしまい、路上で突き飛ばし、殺してしまう。逃亡をはかった末に自殺を考えたが、偶然にも自殺をしようとする女性を発見し、助ける。この女性・直美の家に匿ってもらう賢は、直美をゴーストライターとして小説を書き、再デビューをはかる、という作戦に挑む。
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日常に潜む違和感をあたたかなものに変えていく物語

駐車場にやってくる地域猫に餌をあげていた布団屋の民子。入院するが、その間ふぐ料理屋のおかみが民子のかわりに猫へ餌をあげているらしい。やがて、夫が体調を崩し、猫の姿は見えなくなり…(「駐車場のねこ」)ほか日常の一コマから生じる違和感を描きだす、心あたたまる短編集。
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迷いなく破滅への道へ向かう者と巻き込まれていく者

浪人生の徳山は、バイト仲間に連れられて訪れたキャバクラでナンバーワンキャバ嬢の初美と出会う。残酷な世界を語り、物語を嫌う初美にのめり込んでいく徳山。やがて二人は同棲し、外界との関係を断っていく。
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こんな世界、見たことない!!おかしな国のざんねんなスパイの物語

長年ニホーン政府当局で清掃作業員をして働いてきたスパイのルーキーは、73歳にして市長を暗殺する任務を受ける。しかし、この市長と友達になってしまったのだ。秘密裏に任務を遂行するはずが何故か思わぬ方向に事態は転がり続ける。
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「大人」から解放された時「私」のための人生がはじまる

誕生日を迎えて三十五歳になったメイはカフェの副店長として働く日々。毎日カフェにランチを食べに来る男性客もそんな変わらぬ日々の一コマだったのだが、「五月生まれなんですか?」と彼らから声をかけられたことで、メイの日常は少しずつ変わりはじめる。
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音で世界を紡ぎ出す彼らのもうひとつの物語

ピアノコンクールで優勝したマサルを連れて恩師の墓参りへとやってきた亜夜。何故かいっしょについてきた塵が、日本の墓を珍しそうに眺める(「祝祭と掃苔」)ほか、ベストセラー「ミツバチと遠雷」のスピンオフ六編を描いた短編集。
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どこか欠けた者たちで築かれた王国の行末は

和久井ベーカリーの二代目である和久井ミモザの父宛に届いた一通の手紙に導かれん大阪の廃墟ビルへやってきたミモザ。そこにいたのは、父よりも少し上の世代と思われる三人の男たち。かつてこのビルに住み、ここを「王国」と呼ぶ男たちはミモザの父と、自分たちの過去を語りはじめる。
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負の連鎖が生み出す 歪んだ痛みと償いの果てに

庭師である祖父とともに暮らし、自身も仕事を手伝う三十二歳の雅雪。ある事情から雅雪は、両親を事故で亡くした少年、遼平の面倒をみ続けている。そんな雅雪が隠してきた過去を知った良平は、雅雪に怒りと憎しみの目を向けるのだが…。