小説・人文

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どこか欠けた者たちで築かれた王国の行末は

和久井ベーカリーの二代目である和久井ミモザの父宛に届いた一通の手紙に導かれん大阪の廃墟ビルへやってきたミモザ。そこにいたのは、父よりも少し上の世代と思われる三人の男たち。かつてこのビルに住み、ここを「王国」と呼ぶ男たちはミモザの父と、自分たちの過去を語りはじめる。
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負の連鎖が生み出す 歪んだ痛みと償いの果てに

庭師である祖父とともに暮らし、自身も仕事を手伝う三十二歳の雅雪。ある事情から雅雪は、両親を事故で亡くした少年、遼平の面倒をみ続けている。そんな雅雪が隠してきた過去を知った良平は、雅雪に怒りと憎しみの目を向けるのだが…。
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忍び一族の存続をめぐるロマンあふれるサイエンスエンターテイメント

滋賀県の山奥にひっそりと暮らす梟の一族。彼らは常人離れした身体能力に加え、眠らないという特徴を持っていた。彼らはその能力を隠して生きてきたが、ある夜、集落が何者かに襲撃され、住民たちが消えてしまう。たった一人残された十六歳の史奈は、己のルーツを探り、一族の生存を信じて戦い続ける。
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卑屈で短気。でも寂しがりやな貫多から目が離せない理由。

中学卒業以来、日雇労働をしながらその日暮らしの生活を続けている北町貫多、19歳は見栄っ張りでプライドが高い。将来に希望を持たず、ただその日を暮らせれば良い、と思っている。ある日日雇いの現場で同世代の男・日下部と知り合い、交流するようになると、貫多は少しずつ変わっていくのだが…。
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どんな時も 音楽が光を与え、渇きを癒してくれた

日本を離れ東ドイツへピアノ留学をした眞山柊史個性豊かな音楽の才能を持つ学生たちと接し、自分の音楽性を見失いそうになり、必死にあがいていた。そんな時、教会で耳にしたオルガン奏者に心を奪われる。美貌のオルガン奏者、クリスタは国家保安省(シュタージ)の監視対象だった。
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大阪の人情とユーモアに包まれたあたたかな青春物語

大阪の超庶民的な中華料理店、戸村飯店の二人の息子たち。兄のヘイスケは見た目も要領も良く、弟のコウスケはボケが上手で単純だ。高校を卒業後、東京へ行ったヘイスケ。そして高校三年生となったコウスケ。離れた場所で過ごす二人は、改めて自分自身を見つめ直し、自分の進むべき道を見出していく。
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小さな奇蹟はやがて少女たちを支える力となっていく

東京の進学塾に通っていた12歳の宮田佳乃は、父親の一存で北海道に親切された中高一貫の女子校へ入学することに。プライドの高い宮田には納得のいかない選択だった。一方、地元出身の奥沢叶も新入生総代に選ばれる優秀な生徒。美人で人あたりも良く、人気者の彼女には、ある「秘密」があった。
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この「関係」はどんな言葉でも言い表すことができない

父を亡くし、母がいなくなったことで居心地の悪い伯母の家で自分を押し殺しながら日々を過ごしていた更紗。ある雨の日の夕方、大学生の文に「帰らないの?」と声をかけられる。傘もなく濡れる更紗に「うちにくる?」と問いかけた文に、更紗は「いく」と立ちあがった。
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騙された母親の復讐のためにあいつらが再び動き出す

詐欺師稼業から足を洗い、持ち前の口の上手さを生かして実演販売士をしている武沢竹夫。彼の仕事を何度も見にくる中学生・キョウは武沢に実演販売を教えて欲しい、と頼む。特技として実演販売を身につけ、あるテレビ番組に出演し、賞金を手に入れたい。キョウがお金を欲しがるのには驚くべき理由があった。
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疎ましく、理不尽。でも愛さずにはいられない家族と故郷。

昭和が終わるころ、南河内の本家の次女・志保子に縁談が持ちあがる。本人の意思はそっちのけで世間体を気にした親戚中の思惑がぶつかり合う。志保子の姉・久美子の娘である4歳の奈々子は、そんな彼らの様子を子どもらしい目で見つめていた。