新潮文庫

イラストブックレビュー

ひと目でわかる!イラストブックレビュー
『もういちど』畠中 恵 (著)

天の星が代替わりする時、日本中が日照りに見舞われた。雨乞いの祈祷が行われ、隅田川にも数々の龍神が現れるという。避暑のために川を利用した一太郎は龍神の騒ぎに巻き込まれ川の中へ。気がつくと一太郎は赤ん坊の姿になっていた。赤子からもう一度成長していく一太郎と、彼の世話をしながらその姿を見守る妖たちの物語。
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『コンビニ兄弟3:―テンダネス門司港こがね村店― 』町田 そのこ (著)

フェロモンをまき散らす転調がいるコンビニで働いている中尾光莉は、『推し』がこの街にやって来ると聞き、浮き足立っていた。光莉の推しメン、Q-eickの采原或るはある悩みを抱えていた。北九州門司港のコンビニを舞台に、様々な悩みを持つ大人たちが集まり、自分だけの答えを見つけていく物語。
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『大奥づとめ: よろずおつとめ申し候』永井 紗耶子 (著)

大奥での出世といえば、上様の目に留まり、お手付きになり、いずれは子を産んで育てること。江戸の多くの人々がそう考える中、大奥の中には別の行き方を望む女たちがいた。お手付きにならない「お清」と呼ばれる女中たちはそれぞれの持って生まれたものや、努力しながら日々のおつとめをこなすが、彼女たちにも悩みがあった。
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『異邦人』カミュ (著)

養老院に入っていた母親が死んだ。ムルソーは母親を埋葬した翌日、女と体を重ね、映画を見る。友人の女関係のトラブルから一人の男を殺してしまう。その動機は「太陽のせい」。刑務所に入り、弁護士と話を重ね判事とも会話をするが内容が噛み合わない。裁判で死刑判決を受け、来たる死について考えながら、自分の幸福と最後の望みに気づく。
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『ぎょらん』町田 そのこ (著)

人が死ぬ瞬間強く願ったことが、小さな赤い珠となってこの世に残ると言う。この「ぎょらん」と呼ばれる珠を噛み潰すと死者の願いが蘇り共有できる。葬儀会社に勤める青年・朱鷺はこの都市伝説のような珠について調べ続けていた。死者への後悔を抱えた者たちに、ぎょらんは何を見せ、伝えるのか。喪失と悔恨の日々を送る遺された者たちの再生を描く物語。
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『刺青・秘密』谷崎 潤一郎 (著)

肌に針を刺され痛みにもだえる人間の姿に悦びを感じる刺青師の清吉。彼の願いは、美女の肌へ己の魂を刺り込む事。しかし、彼が望む姿の女性は容易に見つからない。そんな折、清吉のもとへある芸妓の使いであるという娘がやってきた。この娘が探していた女だと気づいた清吉は、彼女をほんとうの美しい女にするために針を刺していった(「刺青」)。
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『樽とタタン』中島 京子 (著)

今から三十年以上前、小学生だったわたしは学校帰りに毎日坂の下の喫茶店に通っていた。店の隅にある赤い樽が気に入っていた私を、常連客の小説家が樽といっしょだから「タタン」と名付けてくれた。店にはこの小説家のほかに歌舞伎役者の卵や謎の生物学者、無口な学生などクセの強い客がやってくる。学校が苦手な少女は、ヘンテコな大人たちの本当や嘘を耳にする。
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『狐笛のかなた』上橋 菜穂子 (著)

夜名ノ里のはずれに住む小夜は十二歳。草木に宿る魂の声をも聞き分ける能力「聞き耳」の持ち主。ある日の夕暮れ、犬に追われている子狐を助けた小夜。この子狐はこの世と神の世の狭間である「あわい」に棲む霊狐・野火であった。その能力故に隣り合う国の争いに巻き込まれた小夜と野火。住む世界さえも異なる二人の響き合う魂の物語。
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『世界でいちばん透きとおった物語』杉井 光 (著)

有名なベストセラー推理作家の宮内彰吾を父に持つ燈真だが父と会ったことは一度もない。校正者だった母と仕事をしていた編集者の霧子さんから、父が亡くなったとの連絡が。その1ヶ月後、宮内の長男・朋晃から、父親が死ぬ間際に執筆していたと思われる小説について何か知らないかとたずねられ、燈真はその原稿を探すことに。果たしてその原稿を見つけ出すことができるのか。
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『八月の銀の雪』伊与原 新 (著)

断られ続ける就活、幼い娘を育てるシングルマザー、夢をあきらめた契約社員。傷つき苦しむ彼らが出会った科学の世界と知識は、新たな一歩を踏み出すための力となる。壮大な自然の営みや動物・生物の不思議さに包まれ癒されていく五編の物語。