集英社文庫

イラストブックレビュー

生涯に影響を与え続けるメンターとの出会い

『リーチ先生』 原田 マハ (著) のイラストブックレビューです。1954年、大分の小鹿田にやってきた、イギリス人陶芸家のバーナード・リーチ。ある窯元の弟子として働く十六歳の少年、高市はリーチ先生のお世話がかりに任命された。驚くことに、リーチ先生は高市の父、亀之介を助手としていたことがあるという。
イラストブックレビュー

今の時代から戦争を「感じる」ということ

『帰郷』 浅田 次郎 (著)のイラストブックレビューです。帰るべき家を失くした帰還兵。ニューギニアで高射砲の修理にあたる職工。戦地へ赴く前の出来事を語り合う海軍兵。戦争に巻き込まれた人々が語る、戦中、戦後。今の時代だからこそ読んでほしい、反戦小説集。
イラストブックレビュー

ただひたすらに愚直なまでに己の道を進む

『櫛挽道守』木内 昇 (著)のイラストブックレビューです。幕末の木曽山中、藪原宿。この宿場町ではお六櫛という櫛づくりがさかんに行われていた。なかでも登勢の父は名人であり、その父のように櫛挽職人を目指す登勢。しかし、嫁いで子を成すことが女の幸せとされる中、登勢は周囲から奇異な目で見られる。
イラストブックレビュー

価値観の奥にある「自分自身」を確立させること

『あのこは貴族』山内 マリコ (著)のイラストブックレビューです。松濤で整形外科医院を営む家の三姉妹の末っ子として育てられてきた華子。女子校育ちの箱入り娘で、相手に尽くしすぎてしまうせいか、交際相手とも長続きしない、焦って婚活に取り組み、ようやく理想の相手「青木幸一郎」と出会う。
イラストブックレビュー

美しい裸体以上のものを観客に与えるストリッパー

『裸の華』 桜木 紫乃 (著) のイラストブックレビューです。四十歳のノリカはストリッパーとして活躍していたが、公演中に左脚を骨折し、引退を決意する。札幌すすきのにダンスを売りにした店を開く。二人の若いダンサーを育て、腕の良いバーテンダーもいるノリカの店は次第に起動に乗りはじめるのだが…。
イラストブックレビュー

人間をまるごと包み込む刑事の苦悩と葛藤

『慈雨』 柚月 裕子 (著)のイラストブックレビューです。神場は警察官を定年退職し、妻と二人で四国の遍路の旅へ出ていた。その旅先で知り合った少女の誘拐・殺人事件は、自分が16年前に担当した事件ときわめてよく似ていた。事件当時のこと、さらに以前の駐在としての時代の事件を回想しながら事件の真相を探る。
イラストブックレビュー

そのホテルにはいろんな人生の「瞬間」がつまっている

『ホテルローヤル』桜木 紫乃 (著) のイラストブックレビューです。北国の湿原を背にするラブホテル、「ホテルローヤル」。「非日常」を求める男女が訪れ、何かを得、また失い帰っていく。
イラストブックレビュー

いろんな「気づきの瞬間」を描く珠玉の短篇集

『四百三十円の神様』加藤 元 (著)のイラストブックレビューです。牛丼屋のアルバイトをしている岩田。夜明けの時間帯、眠気と闘う岩田のもとへやってきたのは、同じアルバイト仲間の彼女だという派手な女。「助けて」という彼女の願いとは。
イラストブックレビュー

「通じない恐怖」を克明に描き出す短篇集

『他人事』平山 夢明 (著)のイラストブックレビューです。交通事故に遭った男女を襲う「無関心」という名の恐怖を描く代表作、孤独にクラス女性にふりかかる理不尽な災禍ほか理解不能な他人とのやりとりが生み出す恐怖を描いた短編集。
イラストブックレビュー

人はみな「幸せになる権利」を持っている

『海より深く』矢口 敦子 (著)のイラストブックレビューです。母から監視するようにしつこくかかってくる電話に嫌気がさし、母に内緒でカレー屋のアルバイトをはじめた大学4年生の真志歩。元日もバイトをすることになり、店に行くと耳が聞こえない様子の少年が何時間も立っている。