カラオケでよく歌う曲ってある?
「時の過ぎゆくままに」。俺のセクシーボイスに女たちはメロメロだぜ。
(いろいろと昭和の色が濃いわね…)昭和の曲はドラマチックなものが多いわね。そんな昭和の歌謡曲にインスパイアされた短編集がこちらよ。
男と女はままならぬものだよな…。
(何かあったのかしら…)
歌をご存知の方は頭に思い浮かべながら読むと、よりストーリーを堪能できるわよ。
『あなたならどうする』 井上 荒野 (著) 文春文庫
あらすじ
病院で出会った男と女の行き場のない愛ー「時の過ぎゆくままに」。女癖の悪い男に振り回されるー「小指の思い出」。
「あなたならどうする」「東京砂漠」「ジョニイへの伝言」など昭和歌謡曲にインスパイアされ生まれた9つの短編。
様々な愛の形がここにある。
行き場のない二人の逢瀬
病院の喫煙所で出会った尚人と歌穂。尚人の妻は肝臓がんの治療で通院中、歌穂の夫もがんで入院中でした。
引き寄せられるように、二人は短い時間の間に体を重ねます。
しかし、歌穂の夫が亡くなって…。
伴侶への思い、セックスに求めるもの。近いようで全く重なる事のない男女の、一時の関係は虚しく、どこか滑稽でもあります。
まとめ
他にも、嘘をつくクズ男や、カルト教の信者を愛してしまった女など、出口のない愛が描かれています。
この愛に行き着く先などない、そもそも愛と呼べるのかもわからない。
そんな悲しみが、登場人物をスポットライトで照らしているかのようにくっきりと浮かび上がるのです。いつまでも胸に刺さって抜けないトゲのような疼きを感じる短編集です。
<こんな人におすすめ>
昭和歌謡曲にインスパイアされた小説を読んでみたい
愛の悲しさや虚しさを描いた物語を読みたい
井上 荒野のファン
沢田研二さんが歌う「時の過ぎゆくままに」の動画よ。歌詞が沁みるわね。
行きずりの男女を描くこの物語のバックに流れていたら…
うおお やるせないぜ〜〜(T ^ T)
曲と物語の相乗効果でより臨場感が高まるのかも。
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