こちらはステージに上がる人々を
支える医師の物語よ。
病を抱えてステージに上がる
人がいるってこと?
そうなの。ステージに上がることは
患者にとっても大きな心の支えと
なるのよね。でも体調には充分
気をつけないといけないわ。
ステージって非日常空間だもんな。
何が起こるか、ある程度予測することも
大切だよな。医師はどんな風に患者たちを
みていくのかな。
『希望のステージ』 南杏子 (著)講談社文庫
あらすじ
都心の病院を辞め、実家であり、兄が院長を務める東京郊外の個人病院に籍を置くことになった女性医師・菜々子。
市役所に勤務している同級生とのつながりから、地元市民会館で行われるステージで、医療サポートを請け負うことに。
さまざまな病をかかえてステージに立とうとする彼らを熱い思いで支えていく女性医師・菜々子の物語。
万全の準備で舞台に立つ人をサポート
末期癌のお笑い芸人が死ぬ覚悟で挑んだステージ。
そこで起こった奇跡とは(「赤黒あげて、白とらない」)。
白血病を患い、現在治療のために入院中の少年が、音楽発表会の舞台にどうしても参加したかった理由(「屋根まで飛んで」)など、様々な病を持ちながら舞台に立とうとする人々をサポートする菜々子。
情熱的で行動力もある彼女ですが、以前在籍していた病院で、自分が担当していた患者が自殺したことが、しこりのように胸の中に留まっています。
何人もの患者を無事に舞台に上げ、サポートしてきた菜々子は、ふと自殺した患者のご両親のもとを訪ねてみようと考えたのですが…。
まとめ
多くの観衆の前に立つ、ということは健康な人間でも緊張や不安から体調を損ねることがあります。
それを、病を持つ人々の体調管理はもちろん、舞台設備から人々の動線までありとあらゆる状況を予測し、備えていく様子は見事なものです。
医師もの小説として、また舞台小説としても楽しめる、ステージに立つ患者とそれを支える医師の姿に胸が熱くなる物語です。
<こんな人におすすめ>
ステージに立つ人をサポートする医師の物語に興味がある
病を抱えながらステージに立つ人の思いを描いた物語を読んでみたい
南杏子のファン
すごいな!!患者のために
舞台の設営や動線まで
変えさせるのか!!
命をかけてステージに立つ人々と
それを全力で支える医師の姿に胸が熱く
なるわね。
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