こちらはある人物が書いた
『縄紋』という小説の校正依頼を
受けた主人公の身に様々な
異変が起こるミステリーよ。
タイトルからして縄文時代の
物語ってことか?主人公には
何が起こるんだ?
そうね。物語は縄文時代を舞台にした
歴史ファンタジーのようなものね。
作者もいわくつきの人物よ。校正する
主人公は体調を崩したりするわ。
呪われた作品、てやつか?
作中作品の『縄紋』と主人公の
世界がどんな風に絡まり合うのか
気になるぜ。
『縄紋』真梨 幸子 (著)幻冬舎文庫
あらすじ
大手出版社を早期退職し、フリーの校正者をしている興梠のもとに、ある原稿の校正依頼が入る。
「縄紋時代、女は神であり男たちは種馬、奴隷でした」そんな一文から始まる歴史ファンタジーのような物語の中には、いくつもの気になる記述が。
現地を訪れ、縄紋時代の様子を調べたり、予測を立ててみる興梠。
離婚して住む場所がなくなったという同期の一場とともに物語を読みすすめ、関連する情報を調べるうちに彼らの周囲で次々と異変が起こり始める。
一本の小説から発生する数々の不穏な出来事
会社にほど近い一軒家を購入した興梠。
早期退職をしてしまったためローンの返済に苦労していますが、フリーの校正者として収入を得ています。
今回引き受けた原稿は『縄紋黙示録』という素人が書いたと思われる小説。
縄紋時代がテーマとなっており、歴史に詳しくない興梠は誰かに助けてもらわないと難しい、と考え同期の一場と連絡を取ります。
歴史に詳しい一場は協力する代わりに、校正が終わるまでこの家に置いてほしい、と言います。
気が合う相手とは言いかねますが、これも仕事のため、と受け入れる興梠。
小説内に表記されている千駄木貝塚を訪れた二人。
さらに千駄木ふれあいの杜へと足を伸ばし、『お化けだんだん』と呼ばれる階段のあたりに差しかかると興梠は身体に異変を感じます。
またこの小説の作者は、夫と娘を異様な手口で殺害した主婦・五十部靖子。
前任者からこの小説を引き継いだ編集者の牛来亜弓は、前任者が精神に異常をきたしたこと、靖子の担当弁護士が彼女を異様に崇拝していることに、奇妙な印象を受けます。
そんな中、彼女の友人が殺されたという知らせを受けます。
友人は、現在校正を担当している興梠がいた会社に勤めていました。
そして興梠がある女性のストーカーだったこと、その女性は現在行方不明である、ということをその友人は話していて…。
まとめ
縄紋時代の情報から始まり、その時代の様子を描き出す『縄紋黙示録』。
その物語の力は読む者に様々な影響を及ぼしていきます。
そしてこの物語が描いた世界と現実が絡まり、やがて未来へとつながっていくのです。
想像力を掻き立てられる物語の世界と、現実の世界の悪意とのコントラストが鮮やかで、妙に頭に残るミステリーです。
<こんな人におすすめ>
歴史小説と現代、未来が絡まり合うミステリを読んでみたい
現代の殺人事件と縄文時代がリンクした話に興味がある
真梨 幸子のファン
は?え?ああっ!?
悪意の方向性に完全に
騙されたんだが!!
それにしても壮大な物語よ…
歴史的要素も多いけれど
そこに目を奪われていると
足元の悪意に足をすくわれて
しまうかもしれないわね。
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