こちらは45際、バツイチ、
仕事なしのミチルさんが
時代の変化に戸惑いながらも
めげずに歩いていく姿を描いた物語よ。
時代の変化に戸惑う?
若い頃がバブル期で、美人な
こともありチヤホヤされて
きたのだけど様子が変わってきたな
と感じているの。
まあなあ。あの頃と比べると
現代はいろいろシビアだよな。
ミチルさんは人生の転換期を
迎えているんだろうか。
『ミチルさん、今日も上機嫌』
原田 ひ香 (著) 集英社文庫
あらすじ
四十五歳のミチルは元夫が残してくれたマンションで独り暮らしをしている。
若い頃からチヤホヤされてきたが、気がつけば付き合っていた男には振られ、パートでいいかと受けた面接では経験がないと…となかなか採用されない。
いきあたりばったりに生きてきた部分もあるが、これからの人生、将来に不安がないわけじゃない。
時代の変化に戸惑うこともあるけれど、めげずに前を向いて歩いていく、そんなミチルの物語。
時代は変わるけれど自分は簡単には変われない
夫以外に好きな人ができて離婚したミチル。
その男性とは続かなかったものの、周りには常に異性がいて「美魔女ですね」などと言われることもあったミチルですが、このところ様子が変わってきたと感じます。
交際していた男性から振られたり、すぐ受かるだろうと思ったパートが採用されなかったり。
それでもとりあえず働かねば、と始めたのがポスティング。
以前はデスクワーク以外無理だと思っていたミチルですが、この仕事をするようになってから思いがけず人脈が広がっていきます。
その人脈から家賃交渉を代行する会社で働くことになったミチルは、ある仕事を成功させ、充実した気分で駅までの道を帰っている途中、一通のメールが。
それはミチルを振った男からのメールで…。
まとめ
二十代をきらびやかでパワフルな時代に過ごしたミチル。
当時内定は有り余るほど出て、高級な食事やホテルもなんども経験し、未来に不安なんか1ミリも感じないという時代でした。
結婚し、子供もなく離婚し、派遣の仕事を続けていたミチルは世間の冷えびえとした空気をニュースなどで感じてはいたものの四十五歳という年齢になって、はじめてリアルに現代の厳しさが自分に降りかかってきたのです。
ただお茶汲みと事務をしていただけ、というミチルにも、彼女にしかないスキルがあり、それが今の彼女だからこそより効果的にその力を発揮できる、という点も同世代の女性たちに勇気を与えるのでは。
自分はまだ一花咲かせることができる、という思いと若者に道をゆずり後押しする側になるのかという思いの中で揺らいだり、自分の感覚が時代の認識とズレているなと感じたりするミチルの心が丁寧に描かれます。
壁にぶつかろうとも何とかして乗り越えようとする。
めげないミチルの姿に元気をもらえる物語です。
<こんな人におすすめ>
四十五歳独身、職なし、バツイチ女性が時代に翻弄されながらも懸命に生きる姿を描いた物語を読んでみたい
バブル時代を回想しつつ、今という時代の中で前を向いて歩く女性を描いた話に興味がある
原田 ひ香のファン
ミチルの仕事おもしろいな!
人の役にも立っているし
若い頃のスキルって意外な
ところで役に立つんだなあ。
時代や世間の価値観に
流されることなく
自分らしく、自分のペースで
生きていくミチルの姿に
勇気をもらえる物語ね。
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