こちらは小学生が
先生の価値観をひっくり返す
ために作戦を立てて決行する
物語よ。
おっ いいねえ。
しかし相手は大人だろ?
手強いんじゃじゃないの。
そうね。でも独特な雰囲気を
持つ転校生の安齋を中心に
計画を立てていくの。
ううむ。どんな作戦を
立てたんだろう。
成功するといいなあ。
『逆ソクラテス』伊坂幸太郎 (著) 集英社文庫
あらすじ
学力も運動もそこそこの小学生・加賀は、転校生の安斎からある作戦をもちかけられる。
「敵は、先入観だよ」と言う安斎の作戦の目的は担任の久留米先生の先入観を崩すこと。
草壁は久留米先生に、高圧的な態度を取られている。
それは先生が、草壁は大した生徒ではないと考えているから。
そんな先生の思い込みは間違っているのだということを証明する。
草壁と、作戦の意図に賛同した優等生女子、佐久間が加わり、作戦を決行する。
先生の先入観をひっくり返す作戦とは
転校生の安斎は独特の雰囲気。
クラスで同級生を下に見ている土田が「草壁がピンクの服を着てきて、女みたいだった」と発言すると「俺はそうは思わないけど」と答えます。
だいたい、最初に久留米先生がそう言ったんだと口を尖らせる土田に、先生はいろんなことを決めつけるところがある、と納得した様子の安斎。
それでもゆっくりともう一度言います。
俺は、変だとは、思わない。
自分の判断が正しいと思っている先生の先入観をひっくり返す。
そのために安斎がまず立てた作戦はカンニングをして草壁に百点を取らせること。
作戦は無事成功し、満点に近い点を取った草壁。
久留米先生に一見変化はないようでしたが、草壁を見る目に戸惑いがあった様子。
続けて絵画作戦、噂作戦など失敗したり成功したりしながら考えた作戦は、何とプロ野球選手に草壁をほめてもらうこと。
果たして彼らの作戦はうまくいくのか。
まとめ
意図的なのかそうでないのかはわからないけれど、「できない生徒」と決めつけそのように接する小学校教師。
その発言を耳にするクラスメイトたちも、あいつはそんな風に扱っていいのだな、という雰囲気に。
そんな空気にハッキリと異を唱える安斎はどこか大人びていて、その揺らがないフラットなものの見方は加賀の目に頼もしく映ります。
教師やクラスメイトなどが自分の前に立ちはだかる困難の対象として現れたとき、小学生らしい知恵とユーモアで戦っていく子供たちの姿を描く、元気と勇気をもらえる物語です。
<こんな人におすすめ>
小学生が困難にぶつかり乗り越えていく物語を読んでみたい
正義とは何かを考えさせられるような話に興味がある
伊坂幸太郎のファン
おお〜 名台詞がたっぷりと!
さすが伊坂作品、映画を見ている
ような気分になるな。痛快だぜ!
小学生らしい知恵と
ユーモアで大人に立ち向かう姿に
元気と勇気をもらえる物語ね。
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