こちらは漫画を描く男子高校生が
同級生の女子から作品を「映画化したい」と
言われ、ともに映画製作に携わるお話よ。
へえ〜 女子高生監督か。
文化祭とかでクラスみんなで
作ります的なやつ?
いいえ、同じ高校生たちが
スタッフとして関わり本格的な
作品を作っているの。彼女の映画は
コンクールなどで賞を取ったりも
しているのよ。
すごいじゃないか!才能豊かな
監督に自分の作品が映画にして
もらえるだなんて。どんな作品が
できあがるんだろう。
『映画化決定』友井 羊 (著) 集英社文庫
あらすじ
「きみのマンガ、映画化決定ね!」高校二年生のナオトは、同級生のハルから突然告げられる。
高校入学時からいくつもの賞を取る天才女子高生監督・ハルからの申し出を一度は断ったナオトだが、制作現場に立ち合うことを条件として作品の使用に同意。
小学生の頃に描いたこの作品を超えるためのヒントが映画作りの中にあるかもしれない、と考える。
一方、ハルは大きな秘密を抱えていた。
ハルの映画づくりへの情熱に圧倒されるナオト
自分が小学生の頃に描いたマンガをハルに見られ、是非ともこの作品を映画にしたい、と迫られたナオト。
小学生の頃、家を出て行った父親に見せようと思って描いた作品でその頃を思い出してしまうこと、その当時の自分の作品を超えるマンガを未だ描けていないことから映画化を断るナオト。
しかし面白い作品を生み出すハルの手にかかれば、そしてその現場を見れば自分のマンガに良い影響が出ると考え、自分も映画づくりに参加することを条件に、作品の使用を許諾します。
映画の準備や演出に圧倒されながらも、意見をぶつけ合うハルとナオト。
多くの映像を撮ったハルは思う形にはまらない、と行き詰った様子。
ここはひとつ原点に帰るべき、とこの作品が作られた経緯、すなわちナオトの父について調べろ!とハルはナオトに詰め寄ります。
根負けしたナオトは渋々音信不通だった父方の祖父母に連絡を取り、同行したハルといっしょに父についての話を聞くことに。
映画づくりのためにはなりふり構わず行動に移していくハル。
そんな彼女には大きな秘密があったのです。
まとめ
マンガや小説が映画化される経緯を楽しめる物語。
脚本、ロケハン、音声、編集、演出など、気が遠くなるような多くの要素・準備があることがわかります。
そして監督が作品をどのように解釈し、映像によって観客に何を伝えるのか。
この映画づくりにあたって最も重要な部分がこの物語の肝の部分にもなっています。
ハルがついた嘘は映画の中で表現されているのか。
読者が観客の中の一人となって、その謎ときと彼らの作品づくりの熱意を味わえる青春小説です。
<こんな人におすすめ>
映画づくりに情熱を注ぐ高校生たちを描いた物語に興味がある
映画監督と原作者の反発や引かれ合う場面を描く青春小説を読んでみたい
友井 羊のファン
映画製作ってこんなに手がかかる
ものなんだな。そしてハルの
隠し事が… 胸が痛い…(*´σω・、)ホロリ
映画がどのように完成していくのか
そして監督はどんな意図で観客に
何を見せたいのか。その様子を
楽しみつつ、ハルの謎をミステリ
としても味わえる青春小説ね。
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