こちらは地方の町役場に就職し
広報課に配属された女性が
取材先で様々な謎に巻き込まれて
いくミステリーよ。
広報課ね。地元の人々を
取材するってことだよな。
どんな謎が起こるんだ?
若手も入り順調に活動して
いけそうな雰囲気だった
消防団の団長が突然解散すると
言ってきたりするの。
なるほどねえ。何やら事情が
ありそうだけど、よそから来た
ばかりの役所の新人に
わかるのかな?
『謎解き広報課』天祢 涼 (著) 幻冬舎文庫
あらすじ
東北地方のL県高宝町役場に就職した新藤結子。
町に縁もゆかりもない身でありながら、広報課に配属され、広報誌を担当することに。
毒舌係長、伊達にしごかれつつ町中を駆けまわり取材する結子は、行く先々で事件に巻きこまれる。
テキトーに働くはずだったのに!?
地元愛もやる気もないが何とか内定を勝ち取った結子が配属されたのは広報課。
取材や原稿作成はもちろんのこと、何よりこの高宝町のことを知らない自分に何ができるのか…。
そんな結子に懇切丁寧に、しかし毒舌のうえ容赦無く指導するのは上司の伊達係長。
彼のレクチャーと指示のもと最初に向かった取材先は地元防災会の訓練と田村会長へのインタビュー。
若者の参加もあり、防災会の未来は明るいと感じていたところ、田村のほうから「防災会を解散する」と連絡が入ります。
何も問題ないように見えたのに一体何故!?
何よりせっかくの取材が無駄になるのは困る!と焦る結子。
防災会の若者、屋代からも解散は悔しい、と言われた結子は田村を説得しようと彼の自宅へ向かいます。
真実に気づいた結子は、田村を案じて駆けつけた屋代と田村の二人の前で、田村が解散を決めた本当の理由を話しはじめます。
他にもゲームの聖地取材拒否の謎、町の祭りの写真データ消失事件、ある少年の死をめぐる両親の不審な態度など様々な出来事が。
取材を重ねるごとに高宝町に、そして広報誌づくりに結子はのめり込んでいきます。
まとめ
何の希望もなく、一年たったら辞めるつもりで高宝町役場に就職した結子。
やる気はないと言いながらも困った状況があればすぐに駆けつけたり、頑張りが空回りしたりと根は熱血的な好人物です。
眼鏡の奥に冷たく目を光らせながら嫌味混じりに的確な指示を飛ばす伊達とのやりとりもテンポよく読ませます。
仕事を重ねながら地元と広報誌への愛を深めていく結子の成長する姿と町での事件が大きな謎につながる驚きを楽しめるお仕事ミステリーです。
<こんな人におすすめ>
田舎町の広報課のお仕事に奮闘する都会育ちの女性を描いた話に興味がある
広報誌の取材をしながら事件に巻き込まれていくミステリを読んでみたい
天祢 涼のファン
役場の広報誌ってこんな風に
作られているんだな。
しごかれつつも成長していく
結子の姿がいいじゃないか。
応援したくなるぞ。
地元ならでは、という謎がまた
役所っぽくていいのよね。
単純な熱血漢のように見える結子
だけれど鋭い推理を見せるところが
爽快なお仕事ミステリーね。
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