こちらは離婚した妹と
東京で働いているはずの姉が
二人揃って実家に戻るお話よ。
ほうほう。いろいろあって
二人とも疲れちゃったのかな。
実家は居心地のいい場所なのか?
マイペースでずけずけと
ものを言う母のことを
妹の澪子は苦手に感じているの。
離婚して収入もない状態で
姉の香波に引っ張られるようにして
帰るのよ。
なるほどねえ。もともと
母親のことを苦手として
いるところに、離婚の痛手を抱えての
実家帰りか。一悶着ありそう…。
『玉瀬家の出戻り姉妹』まさき としか (著)幻冬舎文庫
あらすじ
玉瀬澪子41歳。
夫に浮気され離婚し、アパートで一人鬱々と引きこもっていたところ、突然姉の香波がやってきて「実家に帰ろう」と呼びかける。
急に戻ってきた姉妹に母はまるで他人事。
女3人の実家暮らしがスタートするのだが、ある夜中年の男が向けている視線に気づき、思わず悲鳴をあげた澪子だったが…。
侘しい女三人の実家暮らしが始まるはずが…
夫と別れ、一人になって無気力に過ごしていた澪子のもとへ、姉の香波がやってきて「お金貨して」と言います。
東京でイラストレーターとして活躍しているはずの香波が北海道の田舎町までやってきたのはお金のためか。
専業主婦でろくに働いたこともなかった澪子に貯金はありません。
そんな澪子に「だめになるわよ」と声をかけ、二人で実家へと向かいます。
玄関先に現れた二人の娘をみて、母は「えーっ」「どうしたのさあんたたち」とブーイングに近い声。
澪子の離婚を聞き、驚き、好き勝手なことを言う母と姉の言葉に傷つき、澪子は声をあげて泣いてしまいます。
夜中、ふと目を覚ますと誰かの視線を感じた澪子。
するとドアのところに中年の男の姿が。
この男の正体は意外な人物で…。
まとめ
ハッキリ物ごとを言うデリカシーのない母親、自信たっぷりに見える姉、世の中からはじき出されているような兄、そして、「自分」という檻の中でいつまでもじっとしている自分…。
生活もバラバラ、互いが何を考え、日中何をしているかもよくわからず、これが家族?と首をひねりたくなるような玉瀬家。
それでも、それぞれが自分なりに家族を思い、自分の幸せについて考えているのです。
わけがわからない、と自分から扉を閉ざしていた澪子がその扉を開け家族に近づいていったとき、そこに存在し続けていてくれた家族の有難さに気づくのです。
時にうっとおしく理解不能なところを感じながらも確かにつながっている。
それが家族。
そんな風に感じられる、心の中が温かいもので満たされる物語です。
<こんな人におすすめ>
40歳を過ぎて離婚や生活の困難により実家へと戻ってきた姉妹の話に興味がある
苦手だった実家の家族との暮らしの中で、自分と向き合い成長していく女性の姿を描いた話を読んでみたい
まさき としかのファン
とんでもない玉瀬家の面々!!
生きること、愛情表現が不器用だけど
彼らなりに相手を、自分を思っている。
この家族好きだな〜。
家族だからこそ見えない、
見ないようにしている部分て
あるわよね。自分が成長した時に
そこに目を向けることができるのかも
しれないわね。
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