こちらは五百年の眠りから覚めた
呪いの日本人形お梅が現代人たちを
呪うべく奮闘する物語よ。
おお〜 五百年前といえば
戦国時代のあたりか?
武将たちが戦って多くの人間が
殺されたりした時代だから
呪いの力も強そうだなあ。
そうね。お梅は呪いの力を
出していくのだけれど
現代人の生活の様子や
価値観の違いからなかなか
思うようにいかないのよ。
へえ〜。感覚の違う現代人相手に
お梅はどんな方法で呪って
いくんだろうな。楽しみだぜ。
『お梅は呪いたい』藤崎 翔 (著)祥伝社文庫
あらすじ
築百年以上にもなる古民家の解体作業中に、古びた日本人形が発見された。
それは今を遡ること五百年前の戦国時代に活躍した呪いの人形だったのだ。
興味本位の底辺ユーチューバーに引き取られた呪いの人形のお梅は、この男を呪うことにするのだが、何故かなかなかうまくいかず…。
五百年ぶりの世界に戸惑う呪いの人形 お梅
かつては戦国大名を滅亡させたこともある、呪いの人形、お梅。
五百年ぶりの世界は箱に動く絵があったり、指を軽く押すだけで、部屋に火ではない明かりが灯ったりと戸惑うことばかり。
それでも人間を呪うことが自分の使命であるお梅は、自分を引き取った底辺ユーチューバー悠斗の部屋を夜中にあちこち歩き回り検分します。
すると夜中にスマホ撮影をしていた悠斗にこの姿を録画されてしまいます。
悠斗は驚きつつ早速動画にアップすると悠斗のチャンネルははじめてバズる状態に。
再度お梅が動く姿を撮ろうとしますがお梅はなかなか動いてくれません。
悠斗は仕方なく、自分なりに考え作った動画をあげていくのですが…。
一方のお梅もあんな薄っぺらいものに自分の姿が撮られているのを見てびっくり。
おまけに悠斗は怖がるどころかお梅に「また動いて!」と懇願する始末。
悠斗を呪い殺すはずが、よく食べ眠っている彼には効いているようすがありません。
その理由をあれこれ考え悩むお梅。
そんなある夜、悠斗の部屋を思いがけない人物が訪れたのです。
まとめ
かつては戦国大名を滅ぼしたこともある、自分の呪いの力に高い誇りを持つ呪いの日本人形お梅。
五百年ぶりの外の世界の様子の変わりように驚きつつも、何とか適応しながら自分の持ち主となった人間を呪おうとします。
それなのに、何故か思うようにはいかなくて…。
呪うはずが勘違いや予想外の作用で思ったことと逆の結果を生み出してしまうお梅。
お梅の価値観から見た現代人の暮らしや幸、不幸のギャップがまた興味深く、彼女のシンプルな疑問にハッとさせられることも。
笑いあり、涙あり、そしてテンポよく展開していく、呪いの人形のお梅を思わず応援したくなる物語です。
<こんな人におすすめ>
戦国時代に活躍した呪いの人形が現代人に対してその呪いの力を発揮できるかを描いた話に興味がある
オカルトでありながら笑いを誘うコメディタッチの物語を読んでみたい
藤崎 翔のファン
わははは 『呪い』の
感覚がここまでずれているとは!
お梅!頑張れ〜〜!!
いつか誰かを呪うことが
できるといいな。
多くの便利と情報を手に入れた
現代人は、その分幸せや不幸を
感じにくくなっているのかも。
お梅は案外シンプルな幸せを
教えてくれる存在なのかもしれないわね。
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