こちらは『紙鑑定士の事件ファイル』
シリーズ第三弾よ。紙鑑定士の渡部は
紙業界紙に掲載されたクイズを解くうちに
様々な事件に巻き込まれてしまうの。
ほほう。どんな事件に
巻き込まれてしまうんだ?
クイズの出題者『紙人32面相』を
もじった人物が図書館や書店の
本の中にカミソリの付いた
怪文書を潜ませる事件が起きたの。
しかも書店での状況は密室だったわ。
おお!そいつは悪質だな。
しかも密室状態とは。
紙鑑定士の渡部はどんな推理を
働かせるんだろう?
『紙鑑定士の事件ファイル 紙とクイズと密室と』
歌田 年 (著) 宝島社文庫
あらすじ
あらゆる紙のデータを頭に、その感触を指に覚えさせている紙鑑定士の渡部は、紙業界誌に掲載されたクイズに注目。
「紙人32面相」から出された懸賞金付きクイズを解こうとしていたところ、様々な事件に巻き込まれる。
学習塾で起きたカンニング騒動、書店に怪文書を仕込んだ犯人とその方法。
クイズと謎を解いていった渡部は「紙人32面相」からある事件の真相を探るために協力してほしい、と請われ…。
クイズとカンニングと密室の謎
紙鑑定士の渡部は業界誌『月刊KAMI−ZINE』に掲載された懸賞付きクイズに目を止めます。
『紙人32面相の紙ってる!推理クイズ』というタイトルのクイズの正解者には賞金十万円が贈られるのだとか。
張り切って取り掛かった渡部ですが、なかなかしっくりくる答えが見つかりません。
仕事絡みで打ち合わせをした模型のプロ、土生井から彼の知人が経営する塾で小学生たちによるカンニングが行われているらしいという話を聞きます。
教室や、カンニングが行われたと思われる時の状況を確認しますが、証拠もなく、実行するにも見つからずにできるとは思えません。
首をかしげつつ、渡部は次の打ち合わせ先の出版社へ。
男児向け雑誌の付録について担当者と相談するうち、渡部にある考えが浮かびます。
また、クイズの紙人32面相をもじったのか、「カミ人30面相」なる人物が図書館や書店にカミソリの付いた怪文書を潜ませる事件が発生。
なかでも書店は閉店後、密室の状態で侵入したと思われます。
現場である書店を訪れた渡部は侵入トリックを確認し、犯人のもとへ…。
同時にクイズの答えも解明し、見事賞金10万円をゲット。
賞金を受け取りに『月刊KAMI−ZINE』編集部をたずねたところ、紙人32面相からある怪死事件の真相を探るため、協力してほしい、と頼まれます。
まとめ
密室クイズから始める事件は、少しずつつながりを見せ、意外な結末へとつながっていきます。
素材、原料、工程など紙が出来上がるために多くの情報がつまっているように、事件や人の行動にも多くの情報が潜んでいます。
それらを分析し、つなぎ合わせ、真実へと導く紙鑑定士・渡部の知識と推理が光るミステリー第三弾です。
<こんな人におすすめ>
紙が絡んだカンニングや密室の謎、不審死の真実を暴くミステリに興味がある
『紙鑑定士の事件ファイル』シリーズのファン
歌田 年のファン
なあるほど!こうやって
繋がっていたのか!!
クイズで広がり紙で繋がる
見事な展開!
紙にまつわる知識を広く持つ
渡部だからこそ隠された
真実にたどりつけるのかも
しれないわね。
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