『戯作・誕生殺人事件』辻 真先 (著) 創元推理文庫
こちらはポテトこと薩次と
スーパーことキリコのコンビが
事件を解決するミステリ第五弾よ。
キリコが妊娠中に事件が起こるのよ。
おお!二人に子供が生まれるのか!
楽しみだなあ〜…ってキリコは
妊娠中まで事件の捜査や推理をするのか??
キリコたちが越してきた北関東の地で
地元のTwitterと呼ばれている老女が
自宅の浴室で殺害されていたの。
薩次が出張中で不在の中、キリコは
事件の推理を働かせるわ。
パワフルなキリコといえども
お腹には赤ちゃんがいるわけだからな。
無理せず行動してほしいぞ。
あらすじ
長い付き合いから結婚し、北関東の鷹取市へと引っ越してきたミステリ作家の薩次とキリコ夫妻。
キリコは妊娠中で、自宅で出産すべく地元の中学生・美祢に住み込みで家事を手伝ってもらいながら準備を進めている。
臨月間近となった秋祭りの日、届けられた原稿が事件を呼び起こす。
海外出張中により薩次が不在の中、お腹の子供とともにキリコは難事件に挑む。
キリコのもとに届けらたミステリ原稿
東京を脱出し北関東の地へと引っ越してきたポテトこと薩次とスーパーことキリコ。
現在妊娠中で高齢出産となるキリコは自宅での出産を希望。
地元のベテラン助産師・鵜飼伸江に週二回検診を頼むことに。
さらに、大きくなっていくお腹では家事や車の運転など困ることが出てきた矢先、地元の熟年ヘルパーから中学生の醍醐美祢というい少女を紹介され、住み込みで家事を担当してもらうことになりました。
鷹取神社の宮司の娘である美祢は四十六年ぶりに実施される少女歌舞伎の主役を演じることが決定しています。
これまで上演が途切れていたのは、その当時起こった主役の少女の失踪事件のため。
その少女とは伸江の娘だったのです。
失踪の陰には地元の確執があったようで…。
さらに失踪した少女の弟、範彦は小説家を目指し、女優の妻と暮らしていましたが、妻の勤め先の劇団で火災に巻き込まれてしまいます。
その彼が書いたと思われる原稿が、キリコの手に渡ります。
江戸が舞台となるそのミステリ原稿は「ざ・みすてり」新人賞に応募され、審査をしていた薩次が改良案を提案した作品。
生真面目な伸江は文学ではなくミステリを目指す範彦に怒り、絶縁状態なのだとか。
また鷹取市のTwitterと呼ばれる老女・小袋宗子が自宅の浴室で死体となって発見されます。
ナイフで胸を刺され、鍵のかかった浴室で倒れていたという密室状態。
臨月を迎え、さらに海外出張中で薩次が不在の状況の中、キリコは事件の謎を解くことができるのか。
まとめ
北関東の田舎でお腹の我が子を慈しみながら暮らすキリコ。
相変わらず活動的で、といっても母親らしく無理はしないよう過ごしています。
そんなキリコ夫婦が暮らす鷹取市で起こった四十六年前の失踪事件、選ばれなかったミステリ小説、そして現代の殺人事件が複雑に絡まり合い、ラストには美しい一枚の絵となって真実が浮かび上がります。
中学時代から事件を解決してきた二人が最後を飾るのにふさわしい、長い時の流れを感じさせるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
出産を控えた主人公が田舎で起こる殺人事件と過去の失踪事件の謎に挑む話に興味がある
『ポテトとスーパー』シリーズのファン
辻 真先のファン
おおお 時の流れを感じるなあ。
長年にわたって複雑に絡み合った
真実をほどいていくその手腕は
さすが!!終わってしまうのが寂しいぞ。
入れ子形式の物語や過去に起こった
失踪事件。関連のないように見える
出来事があるべき場所にぴたりと
ハマり全てが明らかになる時には
思わず唸ってしまうミステリーね。
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