イラストブックレビュー

自分が自然の一部だった頃の記憶

『妻が椎茸だったころ』中島京子 (著)のイラストブックレビューです。亡くなった妻のレシピ帳には「私は私が椎茸だったころに戻りたいと思う」と書かれていた。慣れぬ手つきで乾物の椎茸を煮て、妻が生前に予約を入れていた料理教室へ参加した泰平なのだが。
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ワインとともに成長していく双子の物語

『月のぶどう』寺地 はるな (著)のイラストブックレビューです。大阪で、曽祖父の代から続くワイナリーを営み、発展させてきた母が亡くなった。仕事のできる母を目標にしてきた姉の光実は、あらゆる事から逃げてきた弟の歩とともに家業を継ぐことを決意する。
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泣きたい夜のお供にどうぞ

『ちびねこ亭の思い出ごはん』高橋 由太 (著)のイラストブックレビューです。千葉の内房にある、小さな看板猫がいる食堂「ちびねこ亭」。この店は使者と再開できるという。恋人からプロポーズを受けた女性は、亡くなった母へ会いにちびねこ亭を訪れる。
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臨場感を持って迫る戦後最大の誘拐事件

『誘拐』本田靖春 (著)のイラストブックレビューです。1963年、もうすぐ五歳になる男の子、吉展ちゃんが誘拐される事件が起こった。警察の失態による犯人の取り逃がし、被害者の死亡によって世間の注目を集めたこの事件。犯人がその罪を犯した背景とはどのようなものだったのか?
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ミステリー?ファンタジー?何とも不思議な連作短篇集

『夜の床屋 』沢村 浩輔 (著) のイラストブックレビューです。大学生の佐倉と高瀬は山道に迷い、無人駅へ泊まることになった。だが、深夜に駅前の理髪店に明かりがともっていることに気づいた2人が店の扉を開けてみると…。
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アンちゃんの柔らかさが心の痛みをやさしく包みこむ

『アンと青春』坂木 司 (著)のイラストブックレビューです。ふっくらやわらか女子、アンちゃんがデパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めてから八ヶ月が過ぎた。みつ屋の仲間に囲まれて、悩んだりへこんだりしながら成長し続ける姿を描きます。
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「夫婦は似てくる」の本当の意味とは

『異類婚姻譚』本谷 有希子 (著) のイラストブックレビューです。子供を持たず、仕事もせず、専業主婦として呑気な生活を送っていた私は、ある日夫の顔の異変に気づく。やがて、夫と私、互いの輪郭が混じり合い、自分の顔が夫とそっくりになっていることに気付く。
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言葉がつねに漂っている作家の頭の中

『ものするひと 2』 オカヤ イヅミ (著)のイラストブックレビューです。地味ではあるが、作家が「欲しい」と思う新人賞の候補となったスギウラ。そして、なぜか家に泊まっていった女子大生、ヨサノとの関係など、何かと落ち着かない日々を送る。
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厳しいけれど頑張っただけ成果が得られる場所

『外資のオキテ』泉 ハナ (著)のイラストブックレビューです。会社を辞めてアメリカへ行き、一年間の語学留学を決行した。日本へ戻り、外資系の会社で働くべく転職活動を行う。派遣として様々な会社で、いろんなタイプの人間と出会い、仕事をこなしていく。
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激動の時代に生きた浮世絵師の苦悩と矜持

『おもちゃ絵芳藤』谷津 矢車 (著) のイラストブックレビューです。大師匠である宇田川国芳が亡くなり、門下生たちが弔いに集まった。若頭格である芳藤は自身の絵が全く売れないでいる。弟弟子たちの才能を横目に、芳藤は子供用の玩具絵を描き続ける。