孤独をあまたの言葉で飼い慣らし、ひとり生きる

『おらおらでひとりいぐも』   若竹千佐子 (著)   河出文庫

あらすじ

70代の桃子さんは夫に先立たれ、ひとり暮らし。

子どもたちとは疎遠になっている。おらはちゃんと生ぎだべか?

生まれ故郷の言葉で、過去と現在を行きつ戻りつ、己の人生を振り返り、孤独と寄り添う。

賑やかな内なる声と対話の果てに訪れる日常とは。

桃子さんの頭の中に湧き上がる言葉たち

ひとり暮らしの桃子さんは、頭の中に音楽のように言葉が湧いてきます。

東北弁でヤイヤイと語りかけてくるのは老い、孤独、死についてなど。

肯定もすれば否定もし、なんなら別の意見も出してくる内なる声は、全部桃子さんが持っているものです。

哲学的であり、壮大であり、矮小であり。また、年寄りらしく、すぐにあちこちに思考が飛ぶこともあります。

まとめ

心の内面を、これほど丁寧にときほぐし「孤独」というものを細やかに描く作品は他にないのではないでしょうか。

老いが進むにつれ、孤独の色も濃くなっていきますが、そこに向き合い、浸ることで得るものがあるということを教えてくれる物語です。

<こんな人におすすめ>

一人暮らしの老女の「頭の中」を描いた話に興味がある
ジャズのようなリズム感あふれる文章を読んでみたい
孤独をテーマに描いた話を読みたい

著者の若竹千佐子さんによる朗読ムービー。東北弁が頭に染み込んでいくようです。

芥川賞受賞作 若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』本人朗読ムービー

11月公開予定で映画化も。田中裕子さんの東北弁もいいですね。

田中裕子の東北弁が沁みる!主題歌はハナレグミ/映画『おらおらでひとりいぐも』予告編

本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

にほんブログ村

書評・レビューランキング 

コメント