こちらは学生時代に付き合った
元彼が残した遺言状によって
殺人事件に巻き込まれてしまう
女性弁護士の話よ。
元彼?今は関係が切れているんだな。
その元彼ってのはどんな遺言状を残したんだ?
『自分を殺した犯人に全財産を譲る』
というものなの。そして、女性弁護士は
自分を犯人にしてほしい、という人物の
依頼を受けるのよ。
ずいぶん変わった遺言状だな?
しかし元彼を殺した犯人に
依頼者を仕立て上げる内容を引き受ける
女弁護士も相当なもんだな〜。
『元彼の遺言状』 新川帆立 (著) 宝島社文庫
あらすじ
「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」との遺言を残した森川栄治。
栄治の友人だった篠田から「自分を犯人に仕立て上げてほしい」と依頼された弁護士・剣持麗子は、その高額な報酬により、引き受けることに。
ところがその遺言状が入った金庫が盗まれ、栄治の顧問弁護士も殺害される。
麗子の元彼でもあった栄治はどのような意図で遺言状を作成したのか。
そして殺人事件の犯人とは。
元彼が遺した驚くべき遺言状の内容とは
とにかくお金に執着し、周囲からどのような目で見られようとも気にしない敏腕弁護士の麗子。
元彼の栄治がインフルエンザで亡くなり、さらに驚く内容の遺言状を残していたことを知ります。
栄治の友人、篠田は栄治が亡くなる数日前に彼を訪ねていて、それがインフルエンザの解熱2日後だったため、自分が犯人だから後見人として証明してほしい、と麗子に頼みます。
思いがけず資産家であった栄治の財産を試算し、報酬金額に納得した彼女は、交渉材料を集め、作戦を立てます。
新たに事件が発生
その一方で、元彼女たちにも財産分与があるという連絡を受け、栄治が暮らしていた別荘へ向かった麗子。
ところが遺言状は盗まれ、顧問弁護士も殺害されてしまいます。
まとめ
お金を中心として価値観を形成しており、頭も良くて強くて、とっつきにくい印象の麗子ですが、事件を追うにつれ、その考え方にも少々変化が。
遺言内容、殺人の方法、強いキャラクター、人々の思惑が絡み合った事件。
どこにスポットをあてても楽しめる、一気読み必至のエンターテイメントミステリーです。
<こんな人におすすめ>
犯人に遺産を遺す、という遺言状がなぜ作られたのか、興味がある
お金に執着する優秀な女性弁護士が活躍するミステリーを読んでみたい
新川帆立のファン
お金欲しい!頭切れる!
正直すぎる言動!
友達にはなりたくないが
なんてまっすぐで魅力的な主人公なんだ!!
謎も奇抜、スピーディーな展開、
強いキャラのハラハラした言動や
やりとり。読者を飽きさせずに
最後まで引っ張っていく
文句なしのエンタメミステリーね。
著者の新川帆立さんが、作品について語っています。
東大出身、弁護士で作家とか、経歴がすごい。
理路整然とわかりやすく、頭の良さを感じさせる語り口です。
そのうえユーモアもたっぷりで、主役の剣持麗子に負けず劣らず個性豊かな素敵な方です。
今後が楽しみな作家さんですね。