こちらは刑務所と刑務官の
それぞれの胸の内や関係性を
描く連作ミステリーよ。
刑務官かあ。毎日受刑者を
見ているわけだよな。
そこには信頼とかいろんな感情が
あるんだろうな。
そうね。刑務官自身の仕事に対する
プライドもあるわ。そんな中、受刑者が
自殺を図ったり、仮出所した模範囚が
出所後行方がわからなくなったりと
様々なトラブルが発生するの。
そりゃあ責任問題だな。
それと受刑者がどういう心境なのか
というのも気になるところだ。
『看守の流儀』 城山真一 (著)宝島社文庫
あらすじ
受刑者およそ五百人、刑務官数百三十人。
石川県の加賀刑務所は様々な罪を犯したものが収監されている、規模としては小型の刑務所。
仮出所した模範囚が施設から失踪(「ヨンピン」)、暴力団から足を洗うトレーニング中に起きた入試問題流出事件(「Gとれ」)など、刑務官と受刑者の矜持と葛藤がぶつかり合う連作ミステリー。
刑務官として受刑者をどこまで信じられるか
出所した模範囚の源田が更生施設から失踪。
刑務官の宗片は、信じられない思いを抱きながら、源田が立ち寄りそうな場所を探します。
一方、薬をアルミケースごと飲み込んでしまった受刑者が病院に運ばれ、重体に。
亡くなれば刑務所の責任を問われます。
源田が失踪した理由は、そして受刑者の自殺騒動はどう決着をつけるのか(「ヨンピン」)。
暴力団から足を洗うトレーニング、通称「Gとれ」は選ばれた受刑者が、周囲に告知することなくその内容を日々こなしていきます。
そんな中、Gとれ対象者が担当する印刷部門から入試問題が流出する事件が。
模範囚でもあるGとれ対象者が犯人なのか(「Gとれ」)。
それぞれの物語に主役となる刑務官と受刑者が登場し、関係性や仕事への思い、人間としての葛藤を細やかに描きます。
まとめ
刑務官と受刑者。
互いに一人の人間として向き合う姿に胸が熱くなります。
なかでも異色な火石警備指導官は、どの刑務官とも異なるスタンスで受刑者と接し、トラブルを解決。
そして全ての伏線が回収されたラストには思わず唸ります。
罪と向き合い、見守る者たちの深く心に響く連作ミステリーです。
<こんな人におすすめ>
刑務官のプライドと葛藤を描く物語を読んでみたい
刑務官と受刑者たちの関係や刑務所の様子を描いた物語に興味がある
城山真一 のファン
うおお… 刑務官の葛藤や苦しみ、
そして仕事への矜持がひしひしと
伝わってくるぜ。ひとつひとつの
話が胸にずっしりとくる。
そして全てがまとまるラストは
圧巻ね。ミステリー要素もありつつ
刑務官と受刑者の心の奥深くを
描き出す、深い余韻が残る物語ね。
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