こちらはイギリスの中学校の
女性教師が殺害された事件から
はじまる連続殺人事件を描く
ミステリーよ。
イギリスの中学校ってどんなの?
やっぱ建物が古かったりするわけ?
そうね。こちらはヴィクトリア朝時代の
作家であるホランドの邸宅だった建物が
学校の一部になっているの。殺害された
遺体のそばにはホランドの作品に出てくる
文章が記載されたメモが落ちているわ。
おおお もしやホランドの
幽霊が(ll゚Д゚)・・?
『見知らぬ人 』
エリー・グリフィス (著), 上條ひろみ (翻訳) 創元推理文庫
あらすじ
ヴィクトリア朝時代の作家、ホランドの邸宅だった建物はイギリスの中等学校タルガース校の旧館となっている。
同校の英語教師のクレアは、教鞭を取りつつホランドの研究にも取り組んでいる。
そんなある日、クレアの同僚が自宅で刺殺死体となって発見された。
遺体のそばには「地獄はから(空)だ」と書かれたメモが。
ホランドの怪奇短編に繰り返し出てくるこの文章はいったい何を指すのか。
ハービンダー部長刑事はかつて通った母校で起こる事件の謎を追う。
古典ホラーをなぞらえた殺人事件の謎
夫と離婚し、十五歳の娘・ジョージアと、犬のハーバートと暮らしているタルガース校英語教師のクレア。
離婚した夫が娘に干渉することに苛立ち、娘の恋人が六歳上であることに気を揉んでいる。
そんなある日、プライベートでも親交のある同僚のエラが殺害されたという知らせが。
遺体のそばに残されたメモには、クレアが研究しているホランドの小説の文章が書かれていました。
また、クレアは自分がつけている日記に「ハロー、クレア。あなたはわたしを知らない」と書きこまれているのを発見。
いつの間に、いったい誰が書いたのか。
そして事件現場にメモを残した人物と同じなのか。
ハービンダー刑事に相談していたクレアは、いたずら心で夜中に訪れたホランドの書斎で何と第二の死体を発見してしまいます。
ハバートが行方不明に、そして元夫までもが何者かに襲われます。
犯人の影は次第にクレアに近づき…。
まとめ
クレア、ジョージア、ハービンダー刑事それぞれの視点で描かれ、小説「見知らぬ人」の物語を挟みながらの入れ子方式で物語は進みます。
母である女教師、思春期の娘、ゲイの女刑事とそれぞれの感情の機微がていねいに描かれ、その世界をくっきりと浮かび上がらせます。
重厚な歴史ある雰囲気と現代を生きる女性の姿がマッチした、読後高い充足感が得られるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
古典ホラー小説内で起こる殺人を真似た事件を描くミステリーに興味がある
バツイチ、娘一人の女教師に迫る犯人を捕らえるべくゲイの女刑事が活躍する話を読んでみたい
エリー・グリフィスアのファン
ミステリーでもあるけれど母親として
教師として、またゲイである女刑事として
苦しみ葛藤しながら前を向いて歩いていく
女性の姿が印象に残るぜ。
古典小説とミステリを入れ子方式で
組み立てる構成が、事件の発生や展開に
より衝撃を与えるわね。重厚な歴史ある
雰囲気と現代を生きる女性の姿が
マッチした物語ね。
ハービンダー刑事が登場する『窓辺の愛書家』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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