こちらは人に言えない秘密を
抱えることで平和な日常を
脅かす五篇のミステリよ。
秘密ねえ。多くの人が
大なり小なり持っていそうだけど。
しかし日々の生活に影響があるのは
よくないな。
そうね。ある女性は夫のカバンの
中に入っているものを発見して
自分は夫に殺されるのでは、と
考えているの。
えっΣ( °ω° )なんか凶器が入ってたのか?
殺されるって… 夫婦仲悪いの?
どうなってるんだ!!
『妻は忘れない』矢樹 純 (著) 新潮文庫
あらすじ
私はいずれ、夫に殺されるかもしれない。
義父の葬儀の後、夫の実家へとやってきた前妻の佑香。
あれから夫は何かと出歩くようになり、不審に思った私は夫の通勤バッグの中にある物を見つけてしまう(「妻は忘れない」)。
保育園の調理をしている私のもとに、ある一本の電話がかかってきた。
それは警察からで、大学生の息子・哲生に元交際相手障害事件の参考人として話を聞いているという。
事件はニュースになり、ネット上に個人情情報が晒されて…(「戻り梅雨」)。
人には言えない秘密が平和な日常をおびやかす悲劇を呼ぶ五篇のミステリ。
私は夫に殺されるかもしれない
義父の弔問に訪れた前妻の佑香へ対応した日から、夫は別人のように変わってしまいます。
いつもより無口になり、ぼんやりしているか思いつめているか…。
ひんぱんに出かけるのも今までになかったことです。
あの日、佑香は夫に帰ってくれと言われていましたが「いずれはちゃんと晶彦から奥さんに伝えてよ」と答える声が聞こえました。
ある日、夫の通勤バッグからスタンガンを発見。
夫は佑香とヨリを戻そうとしている?
そしてこのスタンガンで私を殺そうとしているのか。
思い悩んでいたある日、警察から電話がかかってきて…(「妻は忘れない」)。
元交際相手の女性が重傷を負った事件の参考人として、息子の哲生から事情を聞いている、と警察からの連絡を受け驚くも、息子には会わせてもらえません。
ネットに事件の犯人とその家族として個人情報が流れたため、ホテルへ避難しようと考え、荷造りのために家に戻ると、そこには弁護士がいて…(「梅雨戻り」)。
まとめ
人には言えない秘密を抱えることで思わぬ悲劇を生み出す五つの短編ミステリ。
大切で壊したくないという思いが予想もつかぬ方向へと転じてしまう、人の心のやるせなさをていねいに描いた物語です。
<こんな人におすすめ>
平凡な家庭に潜む秘密が生む悲劇を描いたミステリを読んでみたい
身近にいるからこそ気づけない、家族が陥ってしまう問題を描いた物語に興味がある
矢樹 純のファン
これって勘違いのまま進んだら
これまでのことが一気に崩壊
しちゃう展開じゃないか!!
平和な日常って結構微妙なバランスで
成り立っているものなんだな。
良かれと思って隠したことが
思わぬ事態を生んでしまうことも
あるのよね。
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