こちらは吃音がある女子高生が
学校で起こる謎を解いていく
ミステリーよ。
吃音か。自分も周囲も
気にする年頃なんじゃないか?
そうね。主人公もそこを気にして
人前で話すことを避けていたの。
でもそんな彼女を見守ってくれる
友人たちの存在によって、人前で
推理を話せるようになるの。
なるほど。友情の物語でもあるわけか。
学校で起こる謎はどんなものか
そして彼女の推理力も気になるな。
『スイーツレシピで謎解きを 推理が言えない少女と保健室の眠り姫』
友井 羊 (著) 集英社文庫
あらすじ
高校生の菓奈は吃音があり、なるべく人前で喋ることを避けるようにしていた。
うまく話せない菓奈の話をじっと聞いてくれるクラスメイトの真雪君はお菓子作りが得意なスイーツ男子。
ある日、真雪が保健室の眠り姫こと篠田悠姫子に頼まれて作ったチョコレートが家庭科室から紛失。
チョコが消えた理由や状況を考え、ある真相にたどりいついた菓奈は、犯人を前につっかえながらもその推理を伝える。
謎を解いていくとともに、菓奈は大切なものを手に入れていく。
会話が苦手な女子高生が学校で起こった謎に挑む
つっかえないように、と思うとどうしてもテンポが遅れ、焦って話せば吃音が出てしまう菓奈は、相手の反応が怖くてなるべく人と喋らないようにしています。
スイーツオタクの真雪は整った顔立ちで物腰も柔らかく、女子に人気があります。
ある日、スイーツ作りが得意な真雪が作ったチョコレートが紛失。
家庭科室の鍵を持っていた菓奈が疑われますが、真雪がかばってくれて、いっしょにチョコレートを探すことに。
翌日、すでに捜したはずの場所で発見されたチョコレートは味が落ちていました。
自分をかばってくれた真雪のために家でチョコと格闘していた菓奈はこの事件の真相に気づきます。
そして菓奈は犯人を呼び出し、つっかえながらも懸命に自分の推理を語り…。
まとめ
吃音に対する他人からの目に萎縮し、殻に閉じこもるようにして高校生活を送っていた菓奈。
しかし、スイーツ男子の真雪や、保健室登校の悠姫子、元気一杯の後輩・葵らとお菓子を作り、食べ、謎を語り合っていくうちに、少しずつその殻がポロポロとむけていくようです。
痛みや苦しみ、そして葛藤する菓奈にやさしく寄り添い、ともに成長していく彼らの姿に胸が熱くなる青春ミステリー。
<こんな人におすすめ>
吃音の女子高生が探偵となるミステリーを読んでみたい
お菓子作りの科学にまつわる謎を解く物語に興味がある
友井 羊のファン
ほほう!結構科学的に推理・分析
するんだな。それと自分のドロドロした
感情にきっちり向き合う主人公の姿に
好感が持てるぜ。
自分の力で解決しようとする主人公を
あたたかく見守り、サポートする
彼らの友情にも胸を打たれるミステリーね。
続編『放課後レシピで謎解きを うつむきがちな探偵と駆け抜ける少女の秘密』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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