こちらはクリスティ愛好家たちの読書会
『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』の
メンバーたちが事件を解決するミステリ
第二弾よ。今回は豪華客船内で起こる
事件に挑むの。
豪華客船!動く密室ってわけだな。
そういや前回、誰か恋人同士に
なってなかったっけ?
そうなの。主人公のアリシアは
医師のサンダースと付き合うことに
なったの。今回の船旅で二人の仲が
もっと近くなると期待したアリシア
だけどなかなかそうはいかないの。
二人の仲が危険視号か?
それに船で起こったのは
どんな事件だったんだろう。
気になるぜ!!
『危険な蒸気船オリエント号』
C・A・ラーマー (著), 高橋 恭美子 (翻訳) 創元推理文庫
あらすじ
クリスティ愛好家たちの読書会、マーダー・ミステリ・ブッククラブのメンバーは蒸気船オリエント号での豪華クルーズに参加していた。
クラブの主催者であるアリシアは、メンバーの一人である医師・アンダースとのロマンティックなひと時を過ごせると思っていたのだが、乗客が死亡したり行方不明になったりとそれどころではない状況に。
ミステリマニアとしての血が騒いだアリシアをはじめとするブッククラブのメンバーたちは、事件の謎を解明すべく捜査に乗り出す。
豪華クルーズで殺人事件発生!?
恋人になったばかりのサンダースに誘われ、クルーズに参加することになったアリシア。
いざ乗船してみるとサンダースは臨時の船の医師としての仕事が忙しいようで、なかなか顔を合わせる時間もありません。
乗客の女性が心臓発作で亡くなったという話を聞き、前日の夜に酔った彼女と船長の妻らしき二人の女性が歩いている姿を見たことをサンダースに知らせたアリシア。
しかしサンダースの答えは「死亡事件は専門家に任せるのがいちばんいい」というもの。
合意しつつ夕食の約束をとりつけたアリシア。
しかしその時間に彼は現れず…。
一人酒を飲み酔って寝てしまったアリシアは夜中のサイレンで目を覚まします。
何事かとデッキへと出てみると、どうやら誰かが海に落ちた様子。
翌朝、海に落ちて行方不明となっているのは船長の妻だということが判明。
さらには年の離れた夫婦の老いた妻がジムのエアロバイクの上で、背中からナイフをひと突きされて亡くなっているのが発見されます。
船内で起こる盗難事件、あやしげな振る舞いのバーテンダー、船長に心酔する乗客と、華やかで奔放な船長の妻。
様々な思惑が入り乱れた事件の謎を、アリシアをはじめとするブッククラブのメンバーたちは解き明かすことができるのか。
まとめ
ロマンティックな旅になるはずが仕事の忙しいサンダースとすれ違いっぱなしのアリシア。
しかしふてくされているばかりではありません。
時系列に起こった出来事を並べ、メンバーたちとともに丹念にその事実を確認していきます。
一見大人しそうなアリシアが粘り強く調査と推理を重ねていく姿はとても魅力的。
そんな彼女の良さを理解してくれる存在を予感させつつ、またクリスティの名作「オリエント急行殺人事件」を彷彿とさせる、人物の背景と構成が見事な一気読み必死のミステリーです。
<こんな人におすすめ>
ミステリマニアが集まるブッククラブのメンバーが船上の事件を解決するミステリに興味がある
クリスティの作品を彷彿とさせるミステリを読んでみたい
前作『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』を読んだ
アリシアの良さは諦めずに
粘り強く事件の謎に向き合う
ところだよな。そこを理解して
くれる奴とならうまくいきそうだぞ。
クリスティ作品の雰囲気を
まといながら現代的要素を
上手く盛り込んでいる
エンタメミステリね。
アリシアの今後の恋愛事情にも
目が離せないわね。
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