こちらは『仮題・中学殺人事件』に
続くミステリよ。高校生となった
薩次とキリコのコンビが温泉で
起こった密室殺人事件に挑むの。
おお!高校生になったということは
ちょっとは大人っぽく成長したのかな。
どんな事件に巻き込まれるんだ?
駅のホームで起こった爆発事件を
きっかけに知り合った友人と意気投合し
彼らと温泉へ行くの。そこで幽霊騒ぎが
起きて、後日友人が密室で死体となって
発見されるのよ。
ほほう。幽霊騒ぎもあったのか。
密室殺人と何か関係があるんだろうか?
気になるぜ。
『盗作・高校殺人事件』【新装版】
辻 真先 (著)創元推理文庫
あらすじ
一九七X年八月七日、新宿駅の九番線で爆発事件が発生。
事故に巻き込まれた高校二年生の牧薩次は病院へと担ぎ込まれ入院することに。
同様に被害に遭い入院していた同級生、三原恭助、上野武らと意気投合。
退院後に恭助の実家である鬼鍬温泉に、それぞれ彼女を連れて出かけることになった。
しかし、そこで彼らは密室殺人事件に巻き込まれてしまう。
温泉で起こった密室殺人の謎
新宿駅で起きた爆発事件の際、ちょうど現場近くのホームにいた薩次は逃げ惑う人々の波に飲まれお尻を負傷。
かけつけてきた同級生、可能キリコには「なんだ生きてたのか」と言われてしまいます。
二人のやりとりに声をかけてきたのは少々ガラの悪い恭助と、眉目秀麗な武。
学年が同じこともあり、盛り上がった彼らは退院後に恭助の実家である鬼鍬温泉へと遊びにいくことに。
そこで起こったのは幽霊騒動。
事故で亡くなったはずの恭助のいとこ、怜子が渡り廊下の窓際にいたのです。
キリコたちが駆けつけてもそこには何も見当たらず、隠れることのできる場所もありません。
そんな夏休みを終えたある日、キリコのもとへ薩次から恭助が密室の中で死んだ、という知らせを受けます。
かつて恭助の祖父が住んでいた離れの部屋で心臓をひと突きされ死亡。
部屋の戸も窓も鍵がかかっていて、洗面所からは水が流れたまま。
発見されない凶器の行方、そして犯人とその動機は何なのか。
薩次とキリコの高校生コンビが事件の謎に挑みます。
まとめ
ある作者がこの物語を編集者に持ち込むという、入れ子方式で物語は形成されています。
中学生から高校生へと成長した薩次とキリコが、互いの気持ちはわかっているけど恋人同士とは明言しないような、それでいて周囲に認知されているカップル、といった雰囲気。
入院をきっかけに知り合った友人たちとの友情と事件と謎解き。
薩次とキリコが見つけ出した真実に驚き、さらに入れ子の外側に隠されていた秘密に今一度目を見開く。
一冊で二度楽しめる『ポテトとスーパー』シリーズ第二弾です。
<こんな人におすすめ>
昭和の空気を色濃く感じる、高校生コンビが謎を解くミステリーに興味がある
前作『仮題・中学殺人事件』を読んだ
辻 真先のファン
二人のやりとりが昭和の
ラブコメ漫画みたいで
懐かしくて面白い!と飼い主が
悶えているぞ。
二人が謎を解く推理の見事さも
さることながら、この話を
持ち込んでいる人物の正体にも
驚く二重に仕掛けられた
ミステリーね。
前作『仮題・中学殺人事件』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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