こちらは読売の種拾いをしている
少女、お奈津が江戸の事故物件に
まつわる様々な事件と関わっていく
シリーズの第二弾よ。
幽霊が出たりして怖いんだけど
最後はホロリとしちゃうんだよな。
今回はどんなことが起こるんだ?
全国各地の幽霊話を集めているという
謎の男・七五郎が登場するの。彼は
行方不明になっている直吉の両親に
関する手がかりを知っているようなのよ。
なんだって!?
直吉の両親が姿を消した時
いったい何が起こったんだろう。
『幽霊長屋、お貸しします(二)』
泉 ゆたか (著) PHP文芸文庫
あらすじ
江戸で起こる様々な事件を集めてまわる、読売の種拾いをしている少女、お奈津。
事故物件を専門に住まいの仲介を行う、家守の直吉の力を借り、幽霊が関わる騒動に立ち向かう。
全国各地の幽霊話を集めているという謎の男・七五郎との出会いや、行方不明となっている直吉の両親に関する手がかりなど、新たな謎と発見に改めて己を奮い立たせるお奈津だが…。
裏切った夫の元に現れる女の幽霊の正体とは
読売のネタについて話をしていた金造とお奈津のもとへ、不穏な空気をまとった一人の男が現れます。
七五郎と名乗るその男は国じゅうから幽霊話を集めているのだと言います。
子供の幽霊の話や、人を呑み込む幽霊屋敷の話など…。
金造は七五郎を追い払いますが、お奈津は直吉の家族がいなくなってしまった幽霊屋敷のことと関係があるのかと気にかかります。
浮気相手と心中を図った夫が妻の元に戻り、直吉の紹介した長屋に住んでいるという情報を仕入れたお奈津は、早速妻のお藤のもとへ。
塩をまかれてほうほうの体で逃げ出したお奈津ですが、お藤の本当の気持ちを知りたいと、意を決して再び訪問します。
現れたお藤はお奈津に「あの女が見えるかい?」「おまさは死んだのかい」とたずねます。
お藤には、夫と心中した女が幽霊となって見えているようで…。
まとめ
夫婦のすれ違い、身分違いの恋、親子の愛、生前の罪。
死者の思いは今生で生きる者の苦しみとリンクすることでその姿をそこにとどめているのです。
様々な醜聞や怨念話を集めるお奈津にも何やら不穏なものがまとわりつき始めているような気配が。
とっつきにくいように見える直吉が時折見せる笑顔にお奈津とともにドキッとさせられます。
直吉の家族を呑み込んだ幽霊屋敷の謎が、七五郎というキーマンを介し少しずつその片鱗を見せ始めます。
大事な人が死ぬ、という多くの人が経験していることを「地獄」と呼ぶ金造親方の過去も気になるところです。
生者と死者の思いが交錯する、恐ろしくも切ないシリーズ第二弾。
<こんな人におすすめ>
事故物件を通して人々の切ない思いや絆を描いた江戸の物語に興味がある
『幽霊長屋、お貸しします(一)』を読んだ
泉 ゆたかのファン
七五郎の登場でなんだか
ミステリっぽくもなってきたな
この後どうなるんだ…
七五郎の正体や幽霊屋敷の謎、
そしてちょっぴり近づいた
お奈津と直吉の関係など
これからの展開が気になる
シリーズ第二弾ね。
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