こちらは息子の婚活に奔走し
様々なトラブルを引き起こす
年老いた母親を描く物語よ。
息子の婚活を親がするのか!?
本人はやらないの??
息子の嫁は、孫を産んでから
すぐに事故で亡くなってしまったの。
事情があって息子は婚活に参加できない
のだけれど、孫や息子のため、そして
いずれ老いる自分のためにもぜひとも
嫁が欲しいと留子さんは考えているの。
なるほどねえ。小さな子供と
年老いた母親付きか。
うまくいくといいんだが…。
『留子さんの婚活』小原 周子 (著) 講談社文庫
あらすじ
今年四十五歳になる息子・秋之のために親の婚活パーティーへと通い続ける米倉留子。
三歳になる孫の隼人、そして自分と同居とはなるが、一刻も早く嫁に来てもらいたい…。
留子一人で参加するせいか、なかなかうまく話は進まない。
しかし、あるパーティーで家事手伝いをしている四十九歳の娘の父・川野幸三に出会う。
彼女を息子の嫁にしたい!と考える留子だが、幸三は留子に一目惚れしてしまう。
息子と孫のために一刻も早く嫁が欲しい!!
秋之の妻は隼人を生んですぐに事故で亡くなり、秋之はその半年後脳梗塞で寝たきりに。
二年前、入院先から追い出されて以来、ヘルパーや訪問看護を利用しながら秋之の介護と隼人の面倒を一人で見てきた留子。
自分もこの先どうなるかわからないと考え、秋之の介護をしてくれて、隼人も育ててくれる嫁を探そうと思い立ちます。
秋之を連れていけないため、一人で参加する留子はなかなかこれぞという相手にめぐりあえなかったり、先方に断られたり…。
そんな中、四十九歳で家事手伝いの娘を持つ川野幸三に出会い、連絡先を交換。
なぜか幸三は留子と二人で会う約束をします。
どうやら幸三は留子に思いを寄せており、募る思いのあまり思いがけない行動に出てしまいます。
果たして留子の婚活はどうなってしまうのか。
まとめ
年老いた母が一人で幼い子供を育て、息子を介護。
先行きを心配して嫁を…という思いが空回りしてしまう留子。
彼女の思惑は様々な人を巻き込み思わぬ展開へとつながっていきます。
コミカルな筆致で描かれているものの、その底に流れる年老いた一人の女性にのしかかる重い存在が感じられ、切なくもなります。
彼女の救いは長年付き合いのある夫婦が隼人をひんぱんに預かってくれたり留子の相談に乗ってくれること。
胸のうちを吐き出し、手を差し伸べてくれる相手がいることの大切さを感じます。
次々とつながっていく奇妙な「縁」が、見えなくなっていた自分の目を開いてくれることもある。
そんな風に感じる物語です。
<こんな人におすすめ>
子供の相手を探すために親も参加する婚活に興味がある
介護や老後の生活をコミカルに、かつリアルに描いた話を読んでみたい
小原 周子のファン
わわわわ こりゃ大騒ぎだ!
コミカルに描かれているけど
内容は結構シビアだ…
自分一人で何とかしようと
するにも限界があるわ。
助言や実際に助けてくれる人の
存在がとても大切なのよね。
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