こちらは霊媒師探偵
城塚翡翠が事件の謎を解く
ミステリの第二弾よ。
前回すごい終わり方しただろ。
それで続きがあるって
いったいどんな話なんだ?
翡翠のキャラクターはそのままに
完全犯罪を目論む犯人たちを
追求していくわ。でも彼女の
魅力が通用しない相手もいるの。
そういうやつもいるのかあ〜。
そんな相手とはどうやって
やり合うんだろう?
『invert 城塚翡翠倒叙集』相沢 沙呼 (著)講談社文庫
あらすじ
霊感によって視えないものを視、完全犯罪や事故のように思われた事件を解決する城塚翡翠。
その美しい容姿で容疑者から情報を引き出すこともあるが、彼女の魅力が通じない、一筋縄ではいかない容疑者たちも登場。
犯人の視点で描かれる三編を収めた倒叙推理小説週。
事故と判断されかけた事件の真相はいかに
小学校教諭の末崎絵里は、元用務員の田草を夜の小学校に呼び出し、頭にコンクリートブロックを打ち付けて殺害。
台車で死体を理科室へと運び窓から押し出します。
不法侵入者が転落した事故死として処理されるはずでした。
しかしそこに城塚翡翠が登場。
状況を一通り聞き、遺体の写真でかかとに蟻が止まっていること、遺体のズボンの後ろポケットに入っていた競馬新聞が濡れていることに着目。
これは殺人事件である、と断言した翡翠は、小学校にスクールカウンセラーとして潜入します。
美しい見た目、露出の多いファッション、そしてどんくさい彼女に対し、絵里は苛立ちを感じます。
しかしどんくさい動きに反し、鋭い洞察力で先日の事故を分析し、事件であると断言。
さらに絵里を疑う様子に警戒心を強める絵里でしたが…(「泡沫の審判」)。
まとめ
露出多めのヒラヒラしたファッション、ふわふわしたイメージ、そしてドジっ子で「はわわ…」などと発言する翡翠ちゃん。
確かに最初はイラッとするのですが(笑)、そうした読者の思いはアシスタントの真ちゃんが全て言葉にしてぶつけてくれるので大丈夫。
しかし、翡翠がそうした姿でいることの背景が本作品では触れられており、彼女の過去がちやほやされたり幸せなもので満たされていたものではないことがうかがえます。
今回の犯人たちはそういった彼女の表面上の「擬態」に魅了されてしまう者もいれば、全く通用しない相手も登場します。
むしろ、そんな犯人たちとのやりとりにおいてこそ、翡翠の犯罪に対する思いや自身の深いところにある苦しみといった本音が引き出されていくようです。
トリックの緻密さ、巧みさに加え、翡翠の魅力にさらに引き込まれていくシリーズ第二弾です。
<こんな人におすすめ>
霊感で事件を解決する探偵の話に興味がある
前作『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を読んだ
相沢 沙呼のファン
翡翠の背景もいろいろありそうだな…。
いろんな苦しみを背負ったうえで
あのキャラクターを演じられるというのが
彼女の凄さでもある。
犯人たちの人物像も深く描かれて
いるわよね。一筋縄ではいかない
相手と翡翠の対決も見どころよ。
前作『medium 霊媒探偵城塚翡翠』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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