こちらは付き合いたての
カップルの女性が彼との
別れを意識しながらも
彼の実家へと向かい、そこから
様々な出来事が起こるお話よ。
別れようと思っているのに
相手の実家に行くのか?
緊張感ある雰囲気なのか。
彼女のほうはほかにも
彼に伝えていないことがあるの。
彼女の元には何度も不審な電話が
かかってくるのよ。
ええ〜 かえって彼に
相談したらいいんじゃないか?
どうなるんだ この二人は。
『もう終わりにしよう。』
イアン・リード (著), 坂本 あおい (翻訳)ハヤカワ・ミステリ文庫
あらすじ
ジェイクと付き合いはじめて二ヶ月弱。
彼が生まれ育った家へ、彼の両親に挨拶をしに二人で車で向かっている。
彼との強い結びつきを感じながらも、私はそれを終わりにしようと考えている。
この気持ちをジェイクに伝えることができないまま、ジェイクの実家である農場に向かって車は走る。
彼に伝えていないことはもう一つある。
それは何度も留守番電話に残されるメッセージ。
そしてある寄り道が、後戻りできない悲劇へとつながっていく。
仲睦まじい二人の間に徐々に高まっていく緊張感
キャンパスのパブのトリヴィアナイトでジェイクとわたしは出会いました。
食事をして映画を見て、体を重ねる日々。
ジェイクと親密になっていっても「電話の人」のことを話せずにいました。
留守番電話に何度も残される男の声。
そして内容は同じで「答えを出すべき問いはただひとつ」というもの。
この電話がかかるようになってから悪夢を見たり、神経がぴりぴりしたりしはじめます。
ジェイクの家は石造りで古びていて、家畜小屋もありました。
家の中は何十年か前の時代に入り込んだような、アンティークな調度品が並ぶ独特の雰囲気。
やさしそうな父親、そして「耳鳴りがするの」と言う母親と奇妙なディナーのひとときを過ごします。
その最中にもわたしの電話には着信が…。
食事を終え、帰路に向かったわたしたちはレモネードを購入。
さらにそのカップを捨てる場所を探し、ある学校に到着。
しかし、誰かが校舎から自分たちを見ていた、と怒ったジェイクは車を飛び出し校舎の中へ。
寒さに耐えかね、一人で帰るべきかと迷いつつ、ジェイクの後を追い校舎の中へ入ったわたしを待ち受けていたものとは。
まとめ
「わたし」にかかってくる電話と、ジェイクや彼の両親とのやりとり。
また彼の家での出来事が少しずつずれているような奇妙な感覚と、ひたひたと迫ってくるような恐怖を感じさせ、何とも言えない気味の悪さ。
最後の寄り道でその緊迫感は頂点に達します。
そしてそのラストはいくつもの解釈が考えられるような仕立て。
どんなラストが自分にとって正解かを考えてしまう物語です。
<こんな人におすすめ>
付き合いたてのカップルが心理的に追い詰められていく様子を描いた話に興味がある
相手のことを知らない、自分のことを伝えられないことが不安と緊張感を招く物語を読んでみたい
イアン・リードのファン
えっ なになに
どうなったんだこれ!?
後半の緊張感がハンパないな!
電話の内容、声の主は何を
示唆しているのか。そして
ラストはどうなったのか。
様々な答えがありそうな物語ね。
映画作品も話題となったようです。画像になったらよりいっそう緊張感が高まりそうです…(・・;)
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