こちらは『ポテトとスーパー』の
コンビが活躍するシリーズ
第三弾よ。高校三年生、受験生に
なった彼らの同級生が飛び降りた
のだけれど発見されたのは4時間後
だったの。
ええっ!?飛び降りた直後は
その死体は発見されなかった
ってことか??
そうなのよ。その生徒は教室の
ドアに鍵をかけたの。心配した卒業生と
同級生が扉をなんとか開けたけれど
生徒はどこにも見当たらなかったの。
それで4時間後に発見
されるってわけか。
薩次とキリコにもこりゃあ
難題なんじゃないか?
『改訂・受験殺人事件【新装版】』
辻 真先 (著)創元推理文庫
あらすじ
西郊高校三年生の牧薩次と可能キリコは、クラブ活動に学業にとそれぞれに残りの学生生活を楽しんでいた。
高校最後の学園祭を終えた休校日、西郊高校きっての秀才が校舎の3階から飛び降りた。
しかしその死体が発見されたのは4時間後。
さらにクリスマス・パーティーで第二の事件が起こる。
薩次とキリコのコンビが事件の謎に挑む。
飛び降り死体が4時間後に発見される謎
ポテトこと薩次とスーパーことキリコの二人は高校3年生に。
相変わらず好奇心旺盛なキリコは様々なクラブを転々とし、現在はオカルト研究クラブに所属。
一方の薩次は入学以来、探偵小説クラブひと筋。
高校生生活最後の文化祭でそれぞれ張り切って担当の仕事をこなし、無事文化祭を終えた休校日のこと。
西郊高校きっての秀才、有原秀之が校舎から飛び降り、死体となって発見されたのです。
目撃者は浪人生の柚木孝とキリコたちの同級生・佐々部洋子。
教室で二人が話していると、有原がふらりと入ってきましたが何やら様子が変です。
「ぼくは死ぬんだ。じゃませんでくれ。出ていってくれ」と二人を廊下に押し出し中からねじ鍵をかけられてしまいます。
焦った二人は二枚の戸を一度にもちあげ戸を外し、慌てて中に入りますがそこには誰もいません。
窓の下には何もなく、教室の中を探しても有原の姿は見つからず。
ところがその4時間後に有原は死体となって発見されたのです。
この4時間の間にいったい何が起こったのか。
そして有原は自殺なのか、それとも誰かに殺されたのか。
また、受験が近づく冬のある日、受験の息抜きにとクリスマス・パーティーに参加したキリコたち。
楽しいリフレッシュになるはずが、ほんのすこし前まで会話を交わしていた同級生がまた、パーティー会場の外で死体となって発見されます。
西郊高校校歌の歌詞の見立て殺人とも言えるこれらの事件に薩次とキリコはそれぞれに推理を働かせます。
まとめ
ポテトとスーパーが活躍し、事件を解決するシリーズ第3弾。
高校3年生となった2人は学生生活を楽しみ、勉強もそれなりに取り組んでいますが、楽しむことをやめて受験一本にシフトした友人を複雑な気持ちで見ています。
受験戦争というレールに否応なしに乗せられてしまった若者たちの悲劇の真相を、冷静な薩次と活発なキリコが究明します。
賑やかな青春の終わりを感じさせるような、一抹の寂しさとちょっぴり大人になった彼らを感じることができるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
大学受験を控えた高校生が学校などで起こる事件を解決するミステリを読んでみたい
ポテトとスーパーが活躍するシリーズのファン
辻 真先のファン
馬鹿騒ぎした高校生活も
終わりを告げるんだな。
いつもの推理のキレの中に
そこはかとない寂しさを
感じる…
まさに受験戦争がはじまった
頃の時代になるのかしらね。
今と違った苦しさが彼らには
あったのかもしれないわね。
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