こちらは息子たちを何者かに殺された
二人の父親がタッグを組み
復讐に乗り出す物語よ。
息子たち?二人は一緒に
いたところを殺されて
しまったのか?
彼らはゲイのカップルで幼い
娘もいたの。父親はどちらも
息子がゲイだということを
認めることができないまま
喪ってしまったのよ。
そいつは…。分かり合える機会を
喪ってしまったのは辛いな。
しかし年老いた男二人に何が
できるっていうんだろう?
『頬に哀しみを刻め』
S・A コスビー (著), 加賀山 卓朗 (翻訳)ハーパーBOOKS
あらすじ
かつて人を殺し刑務所に服役していたこともある黒人のアイク。
出所後は地道に働き現在は庭園管理会社を経営している。
そんなある日、アイクのもとに警察官がやってきた。
それは息子のアイザイアが彼の夫・デレクとともに銃で頭を打たれ死亡した、という知らせだった。
捜査が進まない中、息子たちの墓が何者かによって破壊される。
アイクは酒浸りのデレクの父親バディ・リーとともに息子を殺害した犯人を探し復讐することを誓う。
息子の復讐のために二人の父親が立ち上がる
ゲイである息子を認めることができないまま、もう会えなくなってしまったアイク。
深い悲しみに沈み、彼らが遺した三歳の娘、アリアンナを前に途方にくれていました。
彼らを撃った犯人は未だ見つからず捜査が進んでいない様子にも苛立ちます。
そんなある日、息子たちの墓石が破壊される事件が起こります。
トレーラー暮らしで酒を飲んでばかりいるデレクの父、バディ・リーはこのことをきっかけに息子たちを殺した犯人を見つけ出し復讐しようとアイクに持ちかけます。
昔の自分に戻るのはご免だと、一度は断ったアイクですが…。
まずは息子たちが住んでいた家に何かあるのではと家探しをはじめたアイクとバディ・リー。
するとそこに、バイカー・ギャング「レア・ブリード」の一員となるため、総長に言われて探している女に関する何かを見つけにきたメンバーたちがやってきて鉢合わせします。
年寄りだからとなめてかかった彼らを袋叩きにし、どうやら息子たちは助けを求めてきたある女性の存在が関係して殺されたことが判明します。
レア・ブリードも仲間をやられ反撃の姿勢を見せます。
アイクは妻と孫娘への被害を避けるため自宅から離れるのですが…。
まとめ
もと犯罪者の黒人と貧困層の白人。
共通点は息子がいて、その息子がゲイであることを認められなかったこと、そして愛していたこと。
二人のやりとりはアメリカ南部の根強い人種差別、性差別への偏見が感じられます。
理解できる部分のなさそうな二人の父親が、憎い相手への暴力行為を通して心を寄せ合っていく姿は微笑ましくもありますが、どこか哀しくもあります。
チームワークもばっちりで、相手を倒すシーンは胸がスカッとします。
二人それぞれの背負ってきた苦しみ、応えてもらえることのない息子への愛、そして友情に感動の涙が溢れる物語です。
<こんな人におすすめ>
黒人の元服役囚と酒浸りの貧困白人が、殺された息子の復讐のためにタッグを組む物語に興味がある
アメリカ南部の黒人やゲイに対するリアルな偏見や差別を受ける様子や家族の思いを描いた物語を読んでみたい
S・A コスビーのファン
アメリカ南部だとまだまだ
こういう価値観が根強く
存在しているんだな。
息子の死がなければ出会うことの
なかった父親同士の友情よな。
二人の父親が生きてきた背景が
またすごいわよね。
悲しみを分け合うことができる
関係だからこその友情でもあるのね。
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