『2025年、人は「買い物」をしなくなる 次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃』
望月智之 著 クロスメディア・パブリッシング
はじめに
ショッピング体験の変化により、人は「買い物」をしなくなる。
お金を払って買い物をしなくなるということではなく、実店舗に行き、商品を手に取り検討し、現金を出して購入するという行為自体が新たな局面を迎えるのだ。
インターネットにより大きく変化した「買い物」についての、これまでの仕組みや概念から、これまでの常識を覆す量の情報伝達が可能になる5Gスタート後の「買い物」を、Eコマースとマーケティングの専門家が大胆に予測する。
買い物は好きですか?
買い物は好きですか?洋服を選ぶ、本を選ぶ。あれこれと手に取って悩むことも楽しいものです。
では、必要に駆られて買うものはどうでしょう?トイレットペーパー、洗濯用洗剤、事務用品といった消耗品のようなものや、空気清浄機や掃除機などの家電など、使えれば良いが、デザインも多少は選びたい。
機能性も気になるけれど、そもそも自分に必要な機能はどのようなものなのか。いろいろ情報や種類がありすぎて訳がわからない。そんな風に感じることもあるのではないでしょうか。
これまでの買い物とは
モノが溢れて、多機能な商品が充実した現代。自分が求めるモノを探し出すのも一苦労、といった側面があります。これまで「買い物」はある程度限られた品の中から、自分の懐具合と相談して決める、または買えないような高価なものを、見ることで楽しむという部分もありました。
店に行かずとも購入できる現代の買い物
ところが、多くの商品は今やネットで見ることができ、使い勝手もレビューで確認することが可能です。選ぶための情報はネットで取得できます。
また、AIも発展し、これまでの購入履歴から使い切る時期を想定して、トイレットペーパーや洗剤などを勧めてきたりします。そういえばそろそろなくなりそうだったな、とポチっとすれば買い物終了です。
会社の帰りや出かけたついでに買い、重い荷物を両手に持って帰る、または買い忘れて愕然とした、といった目に遭わずに済みます。商品を「選ぶ」という行為自体からも解放されるのです。
大型店舗の役割とは?
多くの商品が揃うデパートやショッピングモール。子供の遊び場やレストランもあり、あらゆることを一度に済ますことができるレジャーとしても活用できる場所です。
ところが、中にはどこも同じような店が入っています。店にない商品はネットで購入することも可能。であれば、わざわざ混雑する大型店舗にいく必要もないかも…。
「モノ」への価値観が変化している
「モノ」に対する考え方も変化してきています。以前は「良いものを長く使う」ことが良いとされていましたが、「良いものを使うけれども所有はしない」という価値観が出てきました。「サブスクリプション」と呼ばれる仕組みは、定額を払って品物を使うというもの。
例えば映画やドラマが見放題になる『Net Flix』、音楽配信、スタイリストがコーディネートしてくれた洋服を送ってくれる『air Closet』などその種類は多岐に渡ります。サブスクのメリットは高額の商品が、一定の金額・期間所有できること。むしろ、所有は「一時的」であり、必要な時に必要な分だけ利用する、というスタイルは、変化の早い今の時代には理にかなっているものと言えるのかもしれません。
無意識下で希望する商品までもが提案されるように
「モノ」や買い物に対する価値観の変化により、世の中の購買シーンは今後どのように変わっていくのでしょうか。
5Gの時代を迎え、画面に映るあらゆるものは購入することができるようになります。そうした購入履歴をAIが高度に分析し、私たちが無意識下で「欲しい」と感じた商品までもが提案され、「検索する」機会が減っていくのだといいます。
行き交う「情報」の中から選ばれていくものとは
身の回りや目の前にあるあらゆるものが商品として並ぶ「デジタルシェルフ」の中で人々が求めるものはどういったものでしょうか。「体験」でしか得られないもの、「共感」を得られるドラマを持った商品などが考えられます。
こうしたものは「人」との関わりがなければ生み出されません。便利で楽になった世の中でも、ネット上では全てを代替できないのが人との関わりなのです。
まとめ
買い物、モノとの付き合い方が変わっていく時代。これまでの買い物のあり方を通して、現在の「買う」という行為や価値観の変化と、これからの予測を捉えた一冊です。こうした情報を踏まえて、自分たちはどのようにモノを捉え、手に入れ、使っていくのか。改めて考えさせられます。
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