こちらは別の不思議な世界に迷い込んだ
ビル、すなわち井森がクララという少女に
起こった殺人事件の真相に挑むミステリーよ。
クララ?アリスのいる世界とは
違うのか?
そうなの。人間世界に不思議の世界の
記憶を共有する人間がいる、というところは
共通しているけれど、登場人物やその世界の
ルールなどが違っているのよ。
ほほう。井森は得意の論理的思考で
真相に辿りつけることができるのかな。
楽しみだぜ。
『クララ殺し』 小林 泰三 (著) 創元推理文庫
あらすじ
毎晩のようにアリスという少女や白兎などの奇妙な生き物が登場する、不思議な夢を見ている大学院生の井森建。
ある晩、夢の中でいつもと違う世界へ迷い込んだ。
緑豊かな山の中で、車椅子に乗ったクララという少女に出会う。
翌朝大学へ向かった井森は、同じ姿の少女、くららに呼び止められ、彼女から助けを求められる。
夢の中の井森はビルという名のトカゲで、少々知力に欠ける部分があります。
そのため、井森の認識では、夢の中と現実世界では見た目や能力は一致しない、というものでした。
しかし今回現れた少女くららは、夢の中のクララと同じ姿。
そして彼女の叔父であるドロッセルマイヤーも同じです。
車椅子に乗った少女くららは、自分の命が狙われているので、犯人を見つけてほしい、と井森に依頼します。
危険な目に遭った場所を調べていると、井森は何者かに空き地の穴に突き落とされます。
穴の底には先のとがった棒のようなものが…。自分は死んだ、と思った井森でしたが生き返っていました。
調査を続けるうちに何度も殺されます。
それは夢の中でも同様で…。
夢の中のクララは生きているのか。
犯人は誰なのか。
世界のルールは混沌としていて、謎が謎を呼びます。
まとめ
今回も独特な世界の中で殺人事件が発生していきます。
人形と人間の記憶が交錯した、まさにおとぎの国に引き込まれ、どっぷりとはまってしまいそうな、クセになる味わいのミステリーです。
<こんな人におすすめ>
おとぎの国で発生する殺人事件に興味がある
おとぎの国ならではのトリックに驚くミステリーを読んでみたい
小林 泰三のファン
『メルヘン殺し』シリーズのイラストブックレビューはこちらからもご覧いただけます。
不思議の世界でも人間の世界でも
何度も殺されるなんて!!
しかも生き返るのもツラい∑(゚Д゚)
ファンタジーの世界だからこその
謎とトリック、そしてその真相に
驚き、感心せずにはいられない
ミステリーね。
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