こちらは世間から求められる
「男らしさ」に馴染めない
男性たちを描いた物語よ。
「男らしさ」ね。なんだろう
頼り甲斐があるとか?
俺みたいなヤツね。
…。
まあいろんな「男らしさ」が
あるわよね。こちらでは状況に
流されたり、仕事ができなかったりと
情けなくもありおかしくもある男性たちを
描いているの。
ほほう。情けない男たちには
俺が喝を入れてやるぞ!!
『選んだ孤独はよい孤独』 山内マリコ (著)河出文庫
あらすじ
地元の仲間との関係に縛られ、抜け出せずにいるアラサー男。
交際することになった女子高生の積極性に恐怖すら感じる男子高生。
同棲していた彼女が出ていってからも、何となく同じ部屋に住み続けている男。
仕事ができないことを必至に隠し続けるサラリーマン。
求められる「男らしさ」に馴染むことのできない男たちの、おかしくてちょっぴり切ない物語集。
母からもらった金で地元の友人と遊ぶアラサー男
実家住みで何度目かの失業中のヨシオは二十九歳。
母親にもらった三千円を握りしめて、いつもの仲間たちと遊びに行きます。
ボーリング場で隣のレーンにいたのは、同じ中学だった野崎智子とその夫、子供の三人家族。
彼らに気づいた野崎は居心地悪そうにしていましたが…(「男子は街から出ない」)。
高校三年の一学期、内山花音と恋人同士になれた加瀬は有頂天に。
しかしその束縛ぶりに閉口させられます。
どこまでも押しの強い花音の家に招かれ、怒涛のように済ませた初体験は思っていたものとだいぶ様子が違って…(「女の子怖い」)。
まとめ
一人になるのが怖い、主張できない、仕事ができない、相手の要求が理解できない…と「男らしさ」に馴染めない彼らの情けない姿におかしさと切なさがにじみます。
彼らの共通項は受け身であること。
悪いことではありませんが、自分に起こる幸せも不幸せも、相手や状況まかせなのは残念なところ。
とはいえ、男性に限ったことではなく、誰にでも言えることなのかもしれません。
<こんな人におすすめ>
『男らしさ』に馴染めない男たちの生きづらさを描いた話に興味がある
おかしくもあり情けなくもある男たちの姿を描いた話を読んでみたい
山内マリコのファン
個性と言えなくもないけども
残念感が漂うな。でもこういう
奴らって結構いるんじゃないかな。
自分で選んだ「孤独」に
浸るのは、この状況が心地よく
外へ出たり変化することが
面倒だと感じているからなのかも
しれないわね。
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