こちらは沖縄で発見された死体を
巡り、その真相を探ろうとする
青年の物語よ。
ほほう。沖縄といえば
リゾートのイメージだけど。
殺人事件が起きたのか?
水死体となって発見されたのだけど
事故とも殺人とも言い切れないわ。
沖縄へと移り住んだ青年・駿が調べるうちに
米軍やCIA、琉球王の伝説なんかも出てくるの。
なんだって?なんだか壮大な話に
なってきたな。いったいこの場所は
過去に何があったんだ?
『入れ子の水は月に轢かれ』
オーガニック ゆうき (著) ハヤカワ文庫JA
あらすじ
水害で双子の兄を亡くした駿は、実家に残された母から逃げるようにして沖縄にやってきた。
那覇のガーブ川上の商店街にある、鶴子オバアの店を譲り受けた駿だが、最初の客が水死体となって発見された。
その死に疑問を持ち、調べ始めるがさらに新たな死が…。
米軍やCIA、琉球王の伝説が絡み合い、戦後の沖縄の闇が明かされる。
流れ着いた死体の謎
ゲリラ豪雨による増水に巻き込まれ、マンホールにはさまれた後に流され亡くなった駿の双子の兄。
以来マンホールを見ると、駿は事故の記憶がフラッシュバックし、発作の症状が出ることが。
兄の死に打ちひしがれた母を置いて家を出た駿は沖縄へ。
ワケアリの駿に事情を聞かずに鶴子オバアは住まいを提供してくれます。
そこには元県庁職員で今は釣り好きの陽気な老人、健がいました。
オバアから譲り受けたラーメン店の客が泊埠頭で遺体となって発見されます。
死体の状況や川、海の流れから不審感を抱いた健はこの事故について調べはじめます。
姿が見えなくなった健を心配する駿。
そしてまた新たな死体が発見され、何と健が逮捕されてしまいます。
一連の事故の背後に潜むものの正体は何なのか。
まとめ
暗渠の上に作られた混沌としたエリア。
生き残るため必死にこの地にしがみついてきた者たちが、苦労しながらも強く暮らしてきた姿に胸が熱くなります。
ドルでの支払いや物価の上昇などオバアの語る金銭面の話は日本と沖縄の時代の推移をわかりやすく解説してくれます。
濁流に巻き込まれた人々のドラマと沖縄の知られざる一面に迫る社会派ミステリーです。
<こんな人におすすめ>
沖縄の水上店舗を舞台に起こる殺人事件を描いた物語を読んでみたい
戦後の沖縄の闇を描いたミステリーに興味がある
戦後からの沖縄の発展や街の様子を知りたい
変換後の沖縄って混沌と
していたんだな。でも生きて
いくための力強いパワーを感じるぜ。
沖縄の知られざる一面が
見える物語ね。笑顔の下には
皆いろんなものを抱えているのかも
しれないわ。
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