こちらはレズビアンの女性が
孤独と苦しさに苛まれ
死を意識しながら生きていくお話よ。
同性を愛することで
何かつらいことがあったのか?
高校生の時に恋人ができたの。
でもその後に起こったある出来事で
彼女は塞ぎ込んでしまうの。
生まれ育った台湾を出て、日本へと
やってきてこれまでとは別の人間として
生きていこうとするのだけど。
そこまでして過去の自分を
忘れたいのか。死を意識しているという
部分も気になるな。彼女どのような
人生を送るんだろう。
『独り舞』 李 琴峰 (著) 光文社文庫
あらすじ
台湾の、田舎ではあるがごく普通の家庭で生まれ育った迎梅。
無口で本好きな彼女が小学生の頃思いを寄せていたのは、同級生の女の子だった。
その女の子が亡くなり、死への想いが胸にとりまくようになった迎梅はレズビアンとしての疎外感にも苛まれていた。
高校時代の淡い恋や癒えることのない傷。
日本へ渡り、名を変え、別人として生きようとする彼女を苦しめ続けるものとはいったい何なのか。
死への思いとレズビアンゆえの疎外感
初恋の女の子が交通事故で亡くなった知らせを聞き、小学生だった迎梅は、死んだ彼女はどこへ行ったのか、その死に顔はどんな風だったかと思いを巡らせます。
彼女の記憶が薄れていくにつれ、情緒が不安定になっていった迎梅は、児童精神科のカウンセリングに通い始めますが、本当の胸のうちは話すことはできませんでした。
中学校に入り次第に回復し、高校では初めて恋人と付き合いました。
一緒に台湾大学へ入ろう、と約束しいていたのですが、思わぬ事態が迎梅を襲います。
迎梅は心身共に深く傷付き、恋人にも八つ当たりする日々。
精神科に再び通いはじめましたが、彼女の出した答えは、新しい自分として日本で生活することでした。
日本で恋人もでき、順調に思われた日々も突然終わりを告げます。
まとめ
レズビアンであること、過去の傷。
回復したと思ったところを新たに何度も切りつけられ、痛みに苦しむ迎梅。
リセットできない傷を背負い続ける彼女が死と隣り合わせにいるのは無理のないことなのかもしれません。
中国古典を用いた表現や引用が彼女の苦しみや希みにより深みを感じさせる、心に刺さる物語です。
<こんな人におすすめ>
死への想いに囚われた女性の人生を描いた話に興味がある
レズビアンであることや過去に受けた傷から生きづらさを感じる女性の
葛藤や苦しみを描いた話を読みたい
苦しさと孤独が波のように
押し寄せてくるぜ〜(TдT)
漢詩の引用や美しい景色が
彼女の心情をより際立たせて
いるわね。
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