こちらは祖母の遺産を受け取ることに
なった女子高校生が、他の相続人と
ともに同居を始める、というお話よ。
へえ〜!女子高校生が遺産相続!
ほかの相続人とは面識はあったのか?
いいえ。女子高校生、佳恵の母の
弟、つまり彼女の叔父にあたる
幸太郎と、伯母になる利沙子の
二人と一緒に、祖母の家で一定期間
暮らすことが相続条件の一つなのよ。
年も離れている三人が一つ屋根の下で
暮らすのか。いろいろと問題が
起きそうだなあ。
『相続人はいっしょに暮らしてください』
桜井美奈 (著) 祥伝社文庫
あらすじ
高校三年生の花城佳恵はアパートで一人暮らしをしていたが、家賃滞納で立ち退きを求められ困っていた。
そこへ祖母と同居していたという紺野環が現れ、祖母の死と相続について話したいことがあるので、新潟にある祖母の家に来るように言われる。
亡くなった母の代わりに受ける相続は現金と猫。
さらに他の二人の相続人と同居すること、という条件が。
ほぼ初対面の、年齢も境遇も様々な四人の奇妙な生活が始まる。
相続人たちがいきなり同居生活!?
交際を反対され、家を飛び出し父と結婚した佳恵の母。
その母の代わりに相続するものがあると言われてやってきた祖母の家には佳恵のほかに二人の相続人がいました。
借金まみれの義理の伯母・利沙子と女装姿の叔父・幸太郎です。
利沙子にはこの家と土地を、幸太郎にはダイヤの指輪、そして佳恵には現金と猫を、という祖母の遺言には条件がありました。
家と土地は権利所有者全員から承諾を取ること、猫の世話をすることなど。
加えて三人の相続人が遺言執行人の環とともに条件達成までの期間同居すること、ありました。
あまり会うことのなかった祖母のことを知りたいと考えた佳恵は利沙子や幸太郎から話を聞きますが、その印象は決して良いものではありませんでした。
敵意むき出しであったり、冷たいような態度を取られたりとぎこちない雰囲気ではじまった同居生活ですが…。
まとめ
親が見いているものと子が見ているものは、同じ場所にいても異なるものなのかもしれません。
親に削られ続けた部分を持つ同士が集まり、ようやく親に傷つけられた「自分」との折り合いをつけることができたのです。
「家族」という形、あり方について考えさせられる物語です。
<こんな人におすすめ>
ワケありの相続人たちが一つ屋根の下で暮らす物語に興味がある
やっかいな条件の相続を描いた話を読んでみたい
桜井美奈のファン
いやあどうなることかと思ったけど。
傷を持つ者同士が、ぶつかり合いながらも
失ったものを再生していく過程がいいね。
「家族」の形も、愛し方も
いろいろあるのよね。
彼らなりの絆を見出していく
シーンが感動を呼ぶ物語ね。
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