こちらは悲しみの底から救ってくれた
猫のために何か恩返しをしたいと
いろんな商売を考える、
江戸時代の女性の物語よ。
ほう。その女性ってのは
何を悲しんでいたんだ?
突然の病で夫を失ってしまったの。
夫婦の間に子供はおらず、毎日
悲しみにくれて過ごしていたところ
庭に一匹の猫が現れたのよ。
この猫のおかげで立ち直ることが
できたの。
猫の力は偉大だよな!!
ところで、どんな商売を
はじめるんだろうな?
『福猫屋 お佐和のねこだすけ』
三國 青葉 (著) 講談社文庫
あらすじ
十八年連れ添った夫の松五郎が突然亡くなり、お佐和は塞ぎこみ食事も摂らず、1日中布団をかぶって寝ていた。
そんなお佐和のもとに、ある日一匹の猫が迷い込む。
お佐和はこの猫に福と名付け、世話をするうちに少しずつ立ち直っていく。
そんな福にネズミを捕ってほしいい、という依頼が入ったことで、お佐和は猫へ何か恩返しとなるような商売はないものか、と思いをめぐらせる。
助けられた佐和が考えた猫への恩返しとは
子供はおらず、夫の松五郎と、八人の弟子たちと暮らしていたお佐和。
錺職人であった松五郎は心臓発作で突然亡くなります。
悲しみの中、法要を済ませ、弟子たちの行き先も決まると、お佐和は気持ちが沈むままにまかせて、次第に起き上がる気力もない状態に。
そんなある日、庭で犬に吠えられている猫を発見。
気力をふりしぼって犬を追い払い、助けた猫を見ると大きなお腹をしていました。
人なつこい様子のこの猫に「福」と名付けたお佐和。
翌日にはなんと、福は五匹の子猫を産みます。
猫たちの世話をするうち、心がいやされ元気になっていくのをお佐和は実感します。
ある日、松五郎の兄弟子である繁蔵から、知り合いの長屋のネズミ退治を福にお願いしたい、という依頼が入ります。
見事に退治してくれたお礼にと二両ものお金を受け取ったお佐和は、福を呼んでくれる猫たちに恩返しとなるような商売は何かないだろうか、と考えはじめます。
まとめ
江戸時代を舞台に地域猫の保護、譲渡あっせん、猫のお世話代を捻出するための猫グッズ作成や猫カフェの運営まで、未亡人のお佐和が奮闘する姿を描きます。
飼うのであれば息を引き取るその最後まで責任を持って、という姿勢に深く頷きます。
猫の愛らしさにいやされ、心がほっこりとあたたかくなる物語です。
<こんな人におすすめ>
福を呼ぶ猫が人と猫との縁を結んでいく物語に興味がある
江戸時代の猫を飼う様子や人との関係を描いた話を読んでみたい
三國 青葉のファン
ただかわいいってだけじゃ
生き物の世話はできないよな。
それはどの時代も同じってことだ。
猫のお世話代を捻出するために
猫に関連した商売をするという
発送もおもしろいわよね。猫好きさんも
そうでない人にも楽しめるお江戸猫小説ね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。